未来におこること?
ほんとうにそうなのかな?
なかには起きないこともある
―――――――――――――――――――chapter8 サン・ポケ美術館―――――――――――――――――
今日もいつも通り眠くて眠くてしょうがない身体を持ち上げるようにして起きた。
その後、リストランテで食事を済ませ伝言板に行くと、そこには美術館の館長(?)チャーレムが立っていた。
「あら、あなたたち一昨日ここに来たわね」
チャーレムの声を初めて(正確には『入館料200ポケ』のくだりでも聞いているが、あの時は正直あまり聞こえなかった)聞いたが、なんか『学校の先生』って感じ。あくまで俺のイメージだけど。それにしても一応俺達の事覚えてたんだな。
「丁度いいわ、あなた達にお願いがあるんだけど」
チャーレムは腰に手を当てながら言った。
「はい?」
チコはチャーレムに聞き返した。
「これは正式な依頼ではないんだけれど、倉庫の整理を手伝って欲しいの、もちろんちゃんと報酬は支払うわよ」
「倉庫の整理ですか?」
「そうなの、もし他の依頼が無いようなら…。出来るだけ早く終わらせたいの」
チコはチャーレムのお願いを受け
「ちょっと伝言板を見てみますね」
と言った。
「特に急ぐ依頼は無いわね」
と確かめてから俺に
「どうする?」
と聞いた。
「それならチャーレムさんを手伝おうか」
朝からダンジョンってのもなんだかね。
俺達の会話を聞いたチャーレムは
「じゃぁ早速お願いするわ。だいたい今からお昼頃までかかりそうだから…。一人500ポケずつでいいかしら?」
と言った。おぉ!チャーレムさん太っ腹!昨日のオタチの依頼だって一人当たり350だぞ。俺は心の中で小さくガッツポーズした。これでチコへの借金完済まで一歩近づいたな。
「私は別のところを掃除しているから、倉庫の場所は見取り図でわかるわ。倉庫に入るとメモがあるからその通りに整理して頂戴。」
そう言いながらチャーレムはずんずんとサン・ポケ美術館の中に入っていった。
「さ、行こうかシンゴ」
2人で見取り図を見て場所を確認した。
いかにも普段は開けちゃいけないっぽいドアを開けて簡素で乱雑な通路を通ると小汚いドアが出現し、またドアを開けるとダンボールの山に遭遇した。多分中身は全部本とか美術品だろうな。いくつかほぼむきだしのまま美術品が置いてあるのもあった。
「えっと…あ、チャーレムさんの書いたメモがあるわ。この通りにやればいいのね、さ!取り掛かりましょう!!」
手前のダンボールを開けると中身はやっぱり本、えっとこの本は紐で縛って、こっちはカバーとって…。
「高そうな美術品もあるわねぇ、いいのかしら、私たちに任しちゃって」
チコのあけたダンボールのほうは梱包剤に埋もれたいかにもな壺が出てきた。俺には何が「美」なのかよく解らない。
たまにそんな感じの会話や愚痴を言いながら淡々と作業を進める。もちろんメモを確認するのも忘れない。
開けて確認して作業して、、
単調作業って結構苦手なんだよな、俺。
…ふぅ疲れた。もう一時間くらいはやったかな。
「あら、これ有名な『ポケベンス』の絵じゃない」
チコが突然そう言った。
「誰それ?」
有名な芸術家かなんかなんだろうが、少なくても俺は知らない。記憶を失う前は覚えてたかもしれないが。そういう関連のことは忘れていないみたいなので、多分記憶を失う前も知らなかっただろう。
「ビードル・パール・ポケベンスっていう昔の有名な画家よ、知らないの?」
名前から察するに昔の有名なビードルかな?なんか単調作業ばっかりだし美術品も見ても感心できないしくたびれたな。
「なんだか疲れたよ。とても眠いんだ…」
ここ3日分の疲れがみんな出たんじゃないかと思うくらい眠い。どうしちゃったのかなぁ。俺こういう場所に長くいれないわ。寝ようかな。作業はチコがやってくれる気がする。
「けっこう知ってるじゃない」
チコは笑いながらツッコミを入れて、
「ほらほら、早く終わらせちゃいましょ」
と俺の言葉をさらっと流した。どうやら天使は出てこないみたいだ。
「はい、はい。」
まぁ人手が半分になったらお昼までに間に合わなくなって昼食が食べられなくなるかもしれないしな。それだけは避けたい。
ごちゃごちゃだった倉庫もだいぶ片付いてきた。あと1時間もすれば終わるだろう。
「あとは遺失物を片すだけかしら」
あらかた片した頃チコが言った。遺失物と書かれた箱には見つけられた日付が書かれており、一番古いものとなると半年以上前のものがあった。古すぎるものは処分されていくらしい。
「…高価そうな道具もあるわね。これなんか『みとおしメガネ』じゃない。こんなもの誰が忘れていくのかしら」
チコは道具を確認していっている。
「みとおしメガネ?」
どんな道具だろうか?
「えっとこれを付けておくとね、ダンジョン入り口で、すべての部屋の形やそこに落ちている道具、敵ポケモンの位置が解るの。便利でしょ?残念ながら持っていないんだけどね、高いんだもん」
そして小さな声で『捨てるんなら貰っちゃおうか』と言った。おいおい。
そんなことを言いながらもチコは手をやすめないで、
「あら、これは何かしら?」
と小さな木箱を取り出した。
「開けてみれば?」
確認しなけりゃどうしようもない。
「ふん、、、結構フタがかたいわね。シンゴ、開けられる?」
チコは短い足で開けようと努力したようだが、開けられないみたいだ。
「多分開けられると思うよ。貸してみて」
フタの隙間に爪を入れながら上へ引っ張る。よっ。
箱を持ち替えたりして色々やっていると少しずつ開いてきた。おっ
「あっ。開いたよ。えっとこれは、、、?」
中はワラで敷き詰められていた。
「ちょっと見せて、見せて。」
チコに取られた。
チコが箱に敷き詰められたワラをどかすと中から小さなラグビーボールのような緑色の何かが出てきた
「これは…タマゴ、かしら?」
それ以外の何にも見えない。
「どうすればいいのかしら?何も書いてないわね」
道具に関しては一個の例外もなく指示が書いてあるのに、これだけ何も書いてない。
「とりあえず、それは後でチャーレムさんに聞くとして、全部片付けちゃおうよ」
タマゴそっくりの彫刻かもよ。
俺達は他愛の無い話をしながら作業を続けた。
「どう、作業ははかどってる?」
チャーレムがあらわれた
うおっ急に扉が開いてまぶしい。チャーレムは『フラッシュ』を繰り出した。
「ばっちりです!」
チコリータは『からげんき』を繰り出した。
チャーレムは箱を二つも抱えている『かいりき』か?
さてさて技風の駄洒落でふざけてないで。
「あ、チャーレムさん片付けていたらタマゴが出てきたんですけど、これはどうすればいいのでしょう?」
チコリータはどうやら『しんぴのまもり』に入ったようだ、さていつまで続くかこのボケ。
「あら、それまだあったのね…」
チャーレムはタマゴの正体を『みきり』した。
「それ、あなた達にあげるわ。多分私は彫刻だと思うけど」
くそう、適切な技が見つからないっ。俺は『こわいかお』をした。
「え!?もらえるんですか?、ついでにこれもください!」
チコはうんとかわいく言った。『メロメロ』だな。よし、まだ続くぞ。
「それは流石にあげれないわね」
『ひかりのかべ』は厚かったようだ。
「それにしても随分綺麗になったわ。ご苦労様」
チャーレムは『おんがえし』を繰り出した、、、ちょっと違うか。
「じゃぁ、私は彫刻のところにいると思うから、終わったら来て頂戴」
チャーレムは逃げ出した
俺は経験値を0貰った。 チコは経験値を0貰った。 タマゴを手に入れた!
…よし、最後まで続いたな。
そういう感じでふざけながらもなんとか作業を終えた。
彫刻のところに行くとチャーレムは辺りを掃除しているようだった。
「じゃぁ、これ今回のお礼の500ポケよ」
とにっこり笑って俺達二人に手渡した後、すぐさま、
「あ、そうそう」
といいながら手を出し
「入館料、ちゃんと払ってね」
と言った。…笑顔はそのままだ
カ ネ と ん の か い ! !
…チャーレムの『きしかいせい』ってトコか?
結局差し引いて昨日の依頼と50ポケしか変わらないじゃないか。
(転んでも只では起きないチコは掃除したての美術館を結構楽しそうに見て行った)
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「そのタマゴみたいの、どうするの?」
美術館を出た後、中央広場でチコに聞いた。
「これは『育て屋ドーブル』さんに持っていけばタマゴかどうかすぐわかると思うわ」
育てやドーブル?たしか南の道をずっと行った所にある店だったかな。
「さ、ご飯食べたら行きましょ」
お昼ごはんか、よくよく考えてみるとチコと出会った1日目はお昼だったから4日目の今日までで、まだ丸々3日間しか経ってないんだな。なんだかチコとはだいぶ前から知り合いのような気がするよ。相変わらず自分の事全く思い出せないけど、このままS&Tのワニノコでもいいような気がしてきた。
さてさてこれから行くドーブルの店では何が起こるのやら。
そんなことを思いながら俺はチコと一緒にリストランテに向かった。
―――――――――chapter8 サン・ポケ美術館:END chapter9 育て屋ドーブル に続く―――――――――