*「そうだな、お前は向こうで本当の名前を使わないほうがいい、って言うか使えんだろうな」
確かにそうだな、それはかなりマズイだろう
*「フィードリース、ってのはどうだ?ほら、こうすれば…」
なるほどな、これなら俺の本当の正体がばれることも無いだろう、向こうではこの名前を使うことにしよう
――――――――――――――――――chapter3 夜のリストランテ――――――――――――――――――
メルカートの中央広場に着くころにはあたりはすっかり暗くなっていた、だが、この時間帯にしては、やけに辺りはひっそりしていて、人気がまるで無い、みんな何処に行ったんだろう?もう寝たのかなぁ
「シンゴ!早く早く!!」
チコはぜいぜい言いながら走る俺にそう言った、すまん、俺もう体力の限界です、チコは大急ぎで昼間入ったリストランテ・バリヤードに入っていった、俺もどうにか後を着いていく、入るとき昼間は無かった看板のようなものが見えたが内容を確認する時間も無く、俺は店内に入っていった
店に入った瞬間、昼間と同じ店であるということを忘れてしまいそうになった、リストランテは昼間と違い、かなりおしゃれで不思議な印象を受けた、(暗さのせいかも知れないが)
店内の電気は完全に消されており、各テーブルにグラスのような容器に入ったロウソクに火がつけられていて、これが明かりのかわりになっている、
さらに店内は昼間来た時よりも、テーブルが増えてるような気がした、そのテーブルすべてにポケモンがいるようだがこの暗さで正直、目を凝らさなきゃどんなポケモンかよくわからない、一つ解るのはそのポケモン達が決まって同じ方向を向いていることだ
その方向にはどうやらピアノとマイクが置いてあるようだ、そこだけは若干ライトが付けてあるので良く解る。
(あ、チコさんようこそおいで下さいました、今日はいつもより少し遅いようですね)
バリヤードが小声でそう話しかけてきた、今日はってことはいつもやってるのか?
(うん、先週はもう30分は早く来てたと思うわ、この時間じゃ席、もう空いてないかしら?)
先週はってことはこれはどうやら毎週土曜日にやっているらしいな
(大丈夫ですよ、チコさんはお得意さんですから、どうぞこちらへ)
ふむ、チコは俺の想像よりもかなりこの店に食事に来ているんだな
バリヤードが案内した席はど真ん中の真正面ではないにしろ、とても見やすく、かなりいい席だ
時刻は7時10分前くらい、もうこの状況から言って、何らかのコンサートのようなものが始まるのは確実だが、一体いつ始まるんだろう?
(ご注文は?)
お、これはディナーコンサートなんだな、多分
(えっと、オボンのピザ2枚と、モモンのジェラートお願い)
デザートはやっぱり固定なんだな
(かしこまりました)
チコは注文をするなりかなりうきうきして、落ち着かない、一体どんなコンサートが始まるんだろう
回りはかなりザワザワしている、多分この時間暇な人たち何だから、みんな調査隊の一員なんだろうか?、どんな話をしているのかなぁ、ちょっと聞いてみるか
*「おい、お前達のチーム、アドバンスクラスから、プロクラスに上がったんだって?、やったじゃないか」
この状況では誰が誰に話しているのかは、解らないが、どうやら調査隊のランクの話をしているらしいな
「シンゴ、やっぱり調査隊のランク、気になる?」
チコが突然そう聞いてきた、む、そういえばあまり詳しくは聞いてないな
「あぁ、気になるな、どんな感じなんだ?」
ほかにも結構スルーしたからこれを機に訊くとするか
「えっとね、今私たちS&Tのランクがビギナークラス、残念ながら1番下のランクなの、」
それは前にも聞いたな、なんとなく一番下というのも癪だし、明日からゼヒ頑張らねば
「次がネクストクラス、アドバンス、プロ、スーパー、ハイパー、マスターと順に上がっていって、今この町に
いる調査隊で最もランクが高いチームのランクはその次のレジェンドクラス、だったはずよ、」
ぐほっ、そんなにあるのか、一体どれだけ活躍すればそこまで行くんだ??
「本当はこの次にもう一つ最も最高のマックスクラスって言うのがあるんだけど、今のところなったっていうチームは聞かないわね」
まだあるのかよ、なんか気が遠くなるなぁ
「ご注文の品お待たせしました〜」
話をしていたらバリヤードが注文の品を持ってきた、今日の昼より出来るの早くないか?、感覚的な問題だろうか
「そういえば伝言板って?」
チコと俺はピザをパクつきながら、話を続けた、伝言板は今日ロズレイドから聞いて少し疑問になった単語だ
「伝言板のある場所はロズレイドさんも言ってたと思うけど、伝言板って言うのは、そこにダンジョンの調査以来といった重要な依頼から、迷子のポケモンを探してほしいといった軽い依頼まで書いてあって、わたしたち調査隊はその依頼をこなしてポイントを貯めるのよ」
なるほどねぇ、っていうか調査隊って俺の想像より遥かにいろんなことやるんだな
「そういえば今日ずっと気になっていたんだが、そのショルダーバックみたいなのは何だ?」
いままでアクセサリーみたいなものだろうと思ってスルーしてたけど、良く見るとフタと思われる部分には、調査隊のバッチと色合いとかが、同じデザインになっている
「あ、これ?これはね、調査隊キットって言って、調査隊になるともらえるの、シンゴも明日もらえると思うわ」
そのバックは真四角で厚みはあまり無く、フタが前面の大半を占め、上面とくっ付いていて、えっとつまりかぶせ方のフタだ、上からモノを取り出すタイプの奴、よく見ると片側には小さなポケットも付いている、そういわれてみれば結構でかいな
まぁ疑問は多分こんなもんだろう、俺が疑問を大体解消した頃チコのジェラートも届き、チコはそれをやっぱりおいしそうに食べだした
チコのジェラートが食べ終わって、数分、ボーっとしていると急に回りのざわつきが突然収まった。ん?何事か??
*「皆さん、今日のコンサート、良くおいで下さいました」
時刻は店の時計で8時丁度、どうやら、始まったみたいだな
*「今回も私、サーナイトとスバメが皆様に素敵な音楽をお届けしたいと思います」
と言うとサーナイトはマイクの前に、スバメは黙ってピアノに座った、毎週来てるってことはこのリストランテ専属なんだろうな、このサーナイト達は
店内に一瞬の静寂が訪れる、まるで時が止まってしまったかのようだ
「わたしはシンデレラ」
歌い出しからかなりのインパクトを感じた、見かけとは違った声量に正直かなりビックリした、どうやらこの唄はシンデレラを題材とした唄だな、
「まほうのドレスで ぶとうかいへいくの」
ふむ、ピアノとのハーモニーがまたいい、最高のコンビだな
「こんやはわすれるわ わたしのほんとうのすがた」
ほぼ真正面のいい席にいるせいか、なんだか俺個人に歌いかけているかのように思えてくる。
「おうじさまにこいをする たのしいときがきえないように」
それにしてもなんだか、思わせぶりな歌詞だなぁ、
「わたしはシンデレラ」
スバメの見事な間奏を交えて2番が始まったようだ
「むしろわすれるべき わたしのほんとうのしめい」
使命ってのは、家でさんざんな扱いを強いられているから、そのことだろうな
「しろでのおうじとの たのしいときがきえないように」
よっぽど楽しいんだろうなぁ、まぁ普段の自分からは想像出来ない様な日だったに違いない。
「いえでのじかんなんか すべてわすれて たのしむわ」
サーナイトがこの歌詞を歌い終わったと同時にピアノの演奏が止まった、どうやらこの歌はここで終わりらしいな
「ありがとうございました」
唄が終わるなり全員席を立ちサーナイトとスバメに拍手を送った、俺も皆に合わせて席を立つ、にしてもスバメ一言も喋らなかったな
「いやぁ、今日のコンサートも良かったわ、さ、もう夜遅いし、わたしのうちへ帰りましょうか」
そうだな、もう眠い、正直そろそろバタッと倒れて突然眠りそうだ
チコと俺は人の流れに乗って出口に向かう
「お会計1000ポケでございます」
え!?コンサート240ポケ!!?
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「ところでチコのうちは東南の道のどの辺りなんだ?」
帰りがてら俺が質問したそういえばまだ聞いてなかったな、
「一番、奥よ」
いや、うん、聞き間違いだよきっとそうだよ
「まぁドンさんの家よりは遥かに近いけど、ふわぁあ…私も早く寝たいし、駆け足!駆け足!!」
多分俺途中で寝そうだ、俺はフラフラしながらチコに付いて行く、今日はなんかチコに付いて行くシーンがおおいなぁ
チコの家に付くやいなや、俺は草が丸く固めてある2つの寝床のうち、チコが行かなかったほうでぶっ倒れた。
「おやすみ、シンゴ、明日は調査隊の仕事、頑張ろうね」
チコも半分寝ぼけなまこでそう言ってきた
「うん、おやふむ…」
もう呂律が回りません
「ねぇ、シンゴ、…?」
急にチコがそう切り出した
「ん?どうひたの?チコ??」
もう俺は半分夢の中ですがね
「あ、やっぱりいいや、おやすみ!!」
ん?どうしたんだろう??まぁいいかもう眠いし、明日話してくれるだろう、じゃおやすみ Zzz…
――――――――chapter3 夜のリストランテ:END chapter4 リーシャンとヤドン に続く――――――