―――――――――――――――――――chapter28 声が聞こえる――――――――――――――――――――

 早く、、出来るだけ早く。俺たちは東南東への道をどんどん向った。

 あの声は俺の親友のものだ。そしてフリーザーが、あいつがチコを探す手助けをしてくれるって言ってた。

 俺はこんがらがった話をすこしでも整理すべく頭を働かした。

 あいつは多分俺を追ってこの世界に来たんだ…でも何が起きたのか、今は助けを求めてる。

 フリーザーの予想ではそれがチコと関係しているらしいけど…駄目だ何もつながってこない。

 最初から順に追って考えてみるか。

 祭りのときチコは何を見つけたんだろう?

 途中で野生のポケモンに遭遇したりして、考えるのが中断するので俺の推理は中々前に進まない。

 3人とも技を出すとき以外は何も喋らなかった。東南東に進むとどんどん寒くなくなっていって、周りもそれに応じて花が咲いてかなりキレイな景色になっていっているようだが、そんな事に感激している時間はない。

 野生のポケモンに会わなくなって来たな、と思ったら、そのうち、『銀の洞窟』を思い出させるような岩山が見えてきた。

 その岩山は銀の洞窟とは違い、全体的に黒っぽく、決して見とれるような景色ではない、それにぺんぺん草の一本も生えてない、岩肌も硬いし、岩で足を切らないよう場所を選びながら進む。

 最初は平坦だった道も段々と勾配がかかってきて、それにつれ足を切りそうなくらい硬い岩もトゲと角が多い形になっていく。

 「シンゴさん…そろそろです、あの声の主と同じオーラがこの辺りからします。」

 こんな所に俺の友達が…お世辞にも住みやすそうな場所とは思えない。それになんだかこの辺りだけ空気がよどんでいるような感じがする。RPGだったらラスボスの大魔王が出てきそうだ。

 3人はなんとなく顔を見合わせた。

 「この辺りのどこかに俺の友達がいます…、こういう地形ですし、3人で手分けして探しましょう。」

 「そうですね、そのほうが早いでしょう。」

 「こんなチョべリバな所にいるなんてシンゴの友達どれだけのセンスの持ち主なのかしら。」
 …表現はともかく俺もそう思う。

 一番暗くて行きづらそうな所は男の俺が行くことにした。

 絵面的にズバットとかが飛んできそうだけれど、それすら姿を見せない。

 その事が俺にいっそう恐怖をかきたてさせた。

 そのためか、心なしか、さっきの吹雪の遺跡よりも寒いような気さえする。

 ほんとにこんな所にいるのか…?

 *「シ…シンゴ?」

 …え

 ま、まさか…この声は…!

 「シンゴ!シンゴよね!!」

 「チ、チコ!どうしてこんな所に?」

 「ごめんね。心配させるかなと思ったんだけど。」

 「顔みてほっとしたよ。何か事故にでも巻き込まれたのかと思った。サーナイトさんとロゼリアも探しているんだ。それに…」
 俺はほっとしたので全部伝えなくっちゃと早口になった。それをさえぎるようにチコは言った。

 「シンゴ、あのね…私」
 
 「あ、チコ、でもさお祭りの時、急にどっかいっちゃって丸一日いなかったじゃない?。俺ホントに…」
 チコの話を聞く余裕は無い。

 「シンゴ!今はちょっとストップ!!、…私ね、シンゴに話したいことがあるの。」
 といいながら、チコはいままで見せたことも無い、真剣な顔になった。

 「え?なにチコ??」
 こんな表情を見せるなんて…

 「あ、チコさんではないですか。良かった無事で。」
 サーナイトさんは何か言いかけたが、チコの顔を見てその口を閉じた。

 「ふん、これで私はヒロインの座、降格ね。」
 ロゼリアもサーナイトさんに続いて来た。

 「ちょうどいいわ、これは3人ともに聞いて欲しい話なの。」

 「え?」

 「心配かけてごめんね。まず…私が急にみんなの前からいなくなったのはそれ相応のわけがあるの。」
 色々問い詰めたいところだけどここは黙って聞いておこう。

 「えっとね…あのお祭りの日…私、人ごみの中で、あるポケモンを見たの。」

 「そのあるポケモンについて行ったらそれがね…」

 「……。」

 「ん?どうしたのチコ??」
 急に言葉につまってしまった

 「う〜ん、ここから先は本人に言ってもらったほうが早いんじゃないかしら。」

 「本人?ここにいるの?」

 「うん、…こっちよ!みんなついて来て!!」

 サーナイトもロゼリアも不思議そうな顔をしている。一体誰に会ったって言うんだろう?

 そう言うとチコはブラック・マウンテン(今、適当に俺が付けた)を、さらに上へと上っていった。

 そのうち、てっぺんまでついた、ん?どう見ても行き止まり…。

 と思ったらチコはその小さい体でそこにある一枚の平らな岩を押し出した。

 「ちょっと!手伝って!!」
 正直意味が解らないけどひとまず手伝うことにした。

 するとその岩は徐々に横にスライドして行った。なるほど、隠し部屋ってやつか。

 「戻ってきたわよ…。」
 その部屋に入るなり、チコは闇に向って声をかけた、誰かいるのか?

 む、今、闇が若干ゆらいだぞ!

 どうやら誰かいるみたいだ。

 その人物の輪郭が捉えられるほど、近くには来たが…。

 どうやらそのポケモンは全身をフードのような物で覆っているらしく、背の高さはわかるがなんのポケモンかは解らない。

 「これはこっちへ来てからこのポケモンが身に着けたの」

 そのポケモンの体長は俺たちの半分くらいだろうか、すくなくても俺の友達だったあいつでは無いな、背の高さが違いすぎるし。

 「このポケモンはね…、多分あなた達も良く知ってる人よ。」

 「一体誰なんだい?チコ。」

 「このポケモンは………。」

 「え!?」

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 さて、5ヶ月以上も連載が続いたこの小説も次回、ついに最終回。

 ここでいままでの「謎」をおさらいしておこう。

・指名手配犯ファドルス
 警備隊が必死になって追ってるファドルスの正体、どうやら複数犯らしい?

・チコの家族
 この小説のヒロイン、チコに家族はいるのか…?

・シンゴの友達
 この世界へ来るのを手引きしてくれたシンゴの友達とは一体?

・サン・ポケ
 サン・ポケ=ジラーチ、一体このポケモンはどこに絡んでいるのか?

・フリーザーの言葉の意味
 『手遅れにならぬ内に』とはどういう意味なのか?

・チームKHYとカクレオンの祭りでの発言
 このなんの変哲も無いこの出来事、何かつながってくるのか…?

これらの謎はすべて一つの結末を導くものだった!次回をお楽しみに!!


―――――――――chapter28 声が聞こえる:END chapterFINAL 出会いと別れ に続く――――――――――