――――――――――――――――――――chapter27 吹雪の遺跡――――――――――――――――――――
さ…寒みいぃいいぃ…
サーナイトの進む方向に付いて行くに連れ段々と雪が深くなってきた。
最初は一面の銀世界でとてもキレイだったけど…少し歩きにくくなってきたかな…と思ったら今こんな感じ。
少し風も吹いてきた、そのうち吹雪になるんじゃないか?
「ちょっと…ここやけにシバれるわね…。」
「そうですね…そろそろ、皆さん私の近くに寄ってくれますか?」
え?と思ったけどそれを口に出すと口の中が凍りそうなので、サーナイトの言った事に従った。
ワニだから寒さに弱いんだよなぁ、俺。
俺とロゼリアが近くによると、サーナイトは目を閉じて両手をあげると水を掻くようにゆっくりと円を描いた。
ん…?何も変わってないような…、
あれ、でも目を凝らすとなんだか空間にわずかな歪みのようなものが見えるような…。
それに風も急に吹かなくなった、いや正確には俺達の前、丁度その歪んだ空間の辺りで止まっているみたいだ。
サーナイトがその空間を作り出すのを待っていたかのように雪が降り出したので、それが解る。
「サーナイトさん…これは?」
風が止まったので喋れるようになった。
「一種のバリアですね、この中に入ってれば風が入ってくることはありません。」
「すごか〜〜…。」
すごか!?
「でもさすがに地面はどうしようもないので、歩きにくいのはそのままです…すいません。」
「いえいえ!充分ですよ。さ、先を急ぎましょう。」
チコ…。今頃ケロっとメルカートに帰ってるってのが一番いいんだけど…。
「まさにマハリクマハリタね…。」
また古いネタを…。子ども解らんだろうに。
その後はサーナイトさんの作ってくれたバリアのおかげで寒くなく進めた、歩きやすさはサーナイトさんの言うとおり、あまり変わんなかったけど。
吹雪の遺跡は、言われなくても場所が解った、階段状の建造物で、上に行くほど踊り場が狭くなっていく。全体としては段々山に上っていくような雰囲気である。
どうやらダンジョンの入り口はてっぺんにあるようだ。
このダンジョンの最奥にフリーザーがいるんだよな…。
外があんなだったから中はどんなに白くて冷たい感じなんだろうと思ったけど、遺跡の内部はいたって普通、レンガが積んである場がダンジョンになっているだけだ。
サーナイトさんという一度このダンジョンにはいったことある人が一緒だったからか、(サーナイトさん自身が強いせいもあるだろうが、)とまどうことなく進めた。どうでもいいけどこんな寒いとこにもサンドとか普通に野生のポケモン出て来るんだよなぁ。
ついこの間生まれたと思っていたロゼリアは、出てくる野性のポケモンに『この唐変木!』とか『べらんめえ』とか怪しげな悪態をつきながらけっこう戦力になっていた。
いくつかのフロアをぬけ、ふいに妙にシーンとした感じの場所に出た。
「もうすぐです。」サーナイトさんが言う声はすうっとどこかにすいこまれていくようだ。
「なんだか、不思議ですね。」
「ここは音が反響しないようです。まわりの壁に防音室のような効果があるようです。始めにここを訪れたときとても不思議に感じました。ここを抜けるとフリーザーがいます。」
「口を開くな、目を開け!ってことね。風林火山ね。」
と、ロゼリア。風林火山にそんなセリフあったっけ?なんか出典まちがっているんじゃないかなあ。それにしてもロゼリアをドン・カラスに預けるアイデアはよかったんだろうかなあ?チコ。
「やれやれ…またお主たちか。」
「フリーザーさん、お騒がせしてすいません。…今日はフリーザーさんに力を貸して欲しくて来ました。」
「…お主がそう言うからには…何かあったのだろう。おそらくは…チコのことだな?」
フリーザーは俺とサーナイトとロゼリアを見て瞬時に察した。
「はい…昨日から行方知らずなんです…。」
「…協力してやりたいのは山々だが…それには我一人の力じゃどうにもならぬな。」
「はい。…俺たちも最大の努力をします、どうしたらいいですか?」
「まぁ落ち着け、まずお主の力が必要だ。」
「俺の力ですか?」
力仕事は自信無いんだけど…そういうことじゃないか。
「そうだ、この部屋でなら…お主の力が最大限に発揮できる。…それとそこのサーナイト、お主にも協力してもらおう。」
「はい、何をすればいいんでしょうか?」
「これからシンゴの頭の中に、おそらくは男の声が届く。」
え?男の声一体誰の…?それに探しているのはチコだ。
いぶかしく思う俺の心は表情にでたらしい。フリーザーは、サーナイトと俺の両方をみながら続けた
「シンゴ、意外に思うかもしれんが、手がかりになりそうな予感があるのだ。サーナイトはそれを我々にも聞こえるようにして欲しいのだ。それとその声の主の方向と場所を出来るだけ正確に伝えてくれ。」
「これは説明するより実際にやったほうが早い、シンゴ、目を閉じてチコの事を思うのだ。出来るだけ強く。」
フリーザーはやや強い口調で俺にそう言った。正直何がなんやらさっぱり解らないが、とりあえず言われたとおりにやってみよう。
チコ…丸一日も…どっかに言っちゃうなんて…何か事件に巻き込まれでもしてなきゃいいけど…
いや…ひょっとしたら…人間界に帰っちゃったのかも…人間界に残してきた家族の事を前聞いたら…曇った表情で話をそらされちゃったモンな…
でも、チコがあのまま人間界に行ってしまうなんて考えられない…
駄目だ、なんだかチコの事を考えろといわれると悪いことばかり考えてしまう。
チコの家族で思い出したけど…そういえば…あいつ…どうしてるかな…。
*「シンゴ…俺だ、助けてくれ!」
「え!?」
思わず俺は声を上げた、そうその声は…あの『謎の声』の持ち主…俺のいた前の世界でこっちの世界へこれるようアシストしてくれたあいつだ…、まさかまた声を聞くなんて…。
「ふむ…おそらくこいつは未来でのお主の仲間…。」
「え…なんでフリーザーさんがそのことを…?」
「我もお主の仲間だからな…」
つまりルギアと、か。
「サーナイト、場所は解ったか?」
フリーザーは俺からサーナイトへ顔の向きを変えて聞いた。
「はい…一瞬だったので、あまり正確ではないですが…ここから東南東におよそ2〜3時間行った所だと。」
充分、正確な気がする。
「シンゴ…おそらくあいつならチコを見つけられる。あいつはお前の仲間だ、助力を仰ぐといいだろう。それに…どうやらあいつの方でもシンゴの力が必要なようだ。」
「はい、『たすけてくれ』と。」
問題解決どころか、問題が増えてしまった。チコに会えるのはいつになるんだろう…。
「まぁそう気を落とすな、ひょっとしたらそいつの所にチコがいるかもしれぬぞ。」
「え?、、なぜそうなるんですか?」
「いや何、可能性の話だ…話の断片をつなげると…ひょっとすると…な。」
…?。まぁ可能性は0ではないだろう。フリーザーも多分そういう意味で言ってるんだろう。
「シンゴさん…急ぎましょう。」
「は、はいサーナイトさん。」
「ありがとうございました…フリーザーさん。」
「何、お主と我は古い腐れ縁みたいなものだ、気にするな。」
腐れ縁って。
「、、、それにしても俺とフリーザーさんは男友達だったんですね。」
「ははは…それはちょっと違うな。」
「え?」
「相変わらず伝説のポケモンの性別を見分けるのが下手だな…我は女だ。」
え…
「えぇえぇえぇぇぇ!!!」
俺とロゼリアは声をそろえて驚いた。サーナイトさんも初めて知ったみたいだけど、表情にはあまり表さなかった。
「お…女の人なの!?超ハクい!」
ロゼリアもビックリしてるみたいだ。
「ハクいとはなんだ、我はそのような言葉を聞いた事は無いが。」
「ドンおじさんがすごいきれいな人の事をそうやって言ってたのよ。」
あの人いつから生きてるんだろう。
「はははは…お主もハクいぞ。」
フリーザーがこんなに愉快そうに笑うのは初めて見る。ロゼリアの意外な才能かも。
俺たちは声のした方向に急いで向うことにした。
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急げよシンゴ…手遅れにならぬ内に…
もし我の予想が当たっているのなら…。
―――――――――――chapter27 吹雪の遺跡:END chapter28 声が聞こえる に続く――――――――――