――――――――――――――――――chapter24 メルカート創立祭―――――――――――――――――――

 ザングースから山盛りの焼きそばと規格外のお好み焼きを差し出されながら、「食いなはれ。食いなはれ!」と

言われて、俺が対応に困っているところでハッと目が覚めた。なんか今日は不良ネコに会いそうな気がしてならな

いよ。

 「あ!シンゴ、おはよう。今起こそうと思ったところなの。あたし、楽しい夢見ちゃった。なんか今日はいい事

ありそう!」
 …俺はある意味での悪夢だったよ。

 「さて、まだ準備中だと思うけど、今から中央広場に行きましょう!」

 チコの性格から想像は付いたけど…。

 「うわぁ…。」

 外へ出るといつの間にか道の両側に沿って電飾が飾られていた。まだ明かりはともされていないが、…すげぇ。

誰が飾り付けたんだろう…思わず俺はドンさんがスボミーちゃんの為に一生懸命飾りつける姿を想像して、吹いて

しまった。まぁ多分、夜は暇(だろう)色んな店の店長達がやったのかなぁ。

 そういえばどうしたのかなぁ…スボミー。

 と思っていたら、いつの間にか中央広場についていた。まだ準備中だ。露店を組み立てたりしてる。やっぱり店

長もちらほら見受けられる。副業か。カクレオンに…バリヤードに…ホーホーに…リーシャンに…ガルーラに……

。うん、今のところあの人はいないな。

 「チコ、やっぱりまだ準備中だね。」

 「うん、そうね。…あら?」
 おやおや、あちらから誰か来るぞ。

 *「シンゴ、チコ!。久し振りだね!!」
 そう言うのはロゼリア。…?

 「えっと…ロゼリアに知り合いはいないけど…。」
 チコも困った顔をしている。

 「失礼ね!あたしよ。あ・た・し!」

 「あたし…?、あ!もしかしてスボミーちゃん!?。」

 「そうよ!ようやくあのオヤジから逃げてきたの。もうかくれんぼにはウンザリ。」
 えぇ!?。

 「で、あたしシンゴとチコのチームを助けてやろうと思って、チームに入ることにしたから。」
 したから!?

 「城には置手紙しといたから。そうねぇ、報酬は4:3:3でいいわ。4があたしね。」
 勝手に仕切ってる!?。

 「ちょっと待って!。S&Tのリーダーは私よ。そんな急に言われても困るわ。」

 「同じ草タイプなら理解しなさいよ。」
 何その無茶な理屈。

 「もしうちのチームに加わりたいなら、まず、『お願いします』って言わなきゃダメよ。」

 「どうしてもダメ?」

 「そう。」

 「お願い…するわ。」
 ロゼリアはやや顔を赤らめながら言った。

 「うん!いいわよ。それから、報酬は基本的に山分けよ。よろしく」

 「え!そんなにいいの!?」
 そう聞いてロゼリアはかなりビックリしていた。なんだかんだ言って心配だったのかなぁ。

 それにしても向こう気が強い女の子だなぁ。まぁあの二人に世話されたらこんな性格にもなるか。

 「チーム名…やっぱり変えるべきかしらねぇ。」

 「S&Tに…ロゼリア…Rか。」
 安直にSTRってのは?

 *「星…だな。」
 お、この渋い声は。

 「ド、ドンさん。お祭りの様子を見に来たんですか?」

 「あぁ、それに、…。」
 ドンはロゼリアを見た。

 「もう一つあったが、その用事はもうすんだ。」
 ロゼリアは俺の後ろで隠れるようにしている。かくれんぼはもうこりごりなんじゃなかったっけ?

 「ところで星って言うのは…?」

 「シンゴ、チコ、ロゼリア…S、T、and、R。略してSTARだ。」
 あぁ…。確かに。

 「STAR…。いいんじゃないか?」
 安直っちゃぁ安直だが、それ以外に思いつきそうも無い。

 「ちょっと安直過ぎるじゃない。」
 とロゼリアが不満そうに言い放った。…そうかなぁ。

 「じゃぁ『ステラ』って言うのはどう?。この辺りじゃ星の事をステラとも言うはずよ。」

 「まぁそれならナウい感じよね。」
 ごめん、ツッコんでいいかな?

 「チーム『ステラ』に決まりだな。」
 ドンが渋い声で割ってきた。

 「じゃぁ、私達、これから『チームステラ』でお願いします。」

 「さて、チーム名も決まったことだし、露店の様子でも見てまわるか…。」
 と言いながら、ドンはふらりとどこかへ言ってしまった。

 「う〜ん、まだまだ準備終わりそうもないわね。」

 「お祭りっていつ始まるの?」

 「そうねぇ、まだ時間は有りそうだし、ゆっくりレストランで食事でもしましょうか。」

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 食事をゆっくりと済ませ、(料理人ライチュウはとても無口な上に、客も俺とチコとロゼリアの3人だけで、ち

ょっと気まずかった。ちょいちょいロゼリアがケチをつけるような事を言うし。)中央広場に戻ってくると、準備

もすっかり終わっており、人も集まり、かなり賑やかになっていた。お囃子のような踊りだしたくなるような曲も

いつの間にか流れている。

 今日はリストランテ以外の、(ライチュウは祭りに興味がないのかなぁ)ほとんどの店は休業みたいだ。(当の

店主がいないし。)

 お店を見ていたら、なんか食べたくなってきた。さっき食べたばかりなのにな。

 まずは綿飴かな。これ定番。

 「チコ、綿飴食べたくない?」

 「あれ、シンゴ。急にテンション高くなったわね。」
 お祭りマジックだよ。

 「甘いものは別腹というし、私も綿飴食べたいな!。」
 ジェラート食ったのに?。それになんか言い方古いよなぁ、ロゼリア。

 「じゃぁ私も食べようかしら」

 「えっと…綿菓子屋さんはあるのかしら…、あ!あったわ『カクレオンの駄菓子屋さん』!!」
 う〜ん、行列が出来てるよ。

 「いらっしゃ〜い」
 長い行列を抜けると、いつも通りの挨拶をされた。

 「えっと…わた…。」

 「綿菓子3つ!お願いします!!」
 チコが注文しようとすると、ロゼリアが割ってきた。

 「どの絵柄がいいですかぁ?」
 袋の絵柄は3つ用意されていた。3つともデカデカと『メルカート』って書いてある。絵柄はシンプルにモンス

ターボールがデザインされたもの、調査隊バッチとドンがデザインされたもの。あとの一つは…カクレオン店長二

人組みがデザインされたもの…。なんだろう、この釈然としない感じ。

 「えっと…私は真ん中ので、シンゴとロゼリアはどうする?」
 どれでもいいよ。

 「どれもナウくないデザインね。」
 …。

 「じゃぁ俺は…モンスターボールので。」

 「私はイカしたハイカラな柄で」
 どれ!?
 
 「かしこまりました〜」
 かしこまっちゃった!?

 「3つで300ポケになりま〜す。」
 カクレオンが俺の事を見てきたので、なんか俺が払うことになってしまった。

 それに、畳み掛けるようにロゼリアが
 「ナウなヤングなら払うわ。」
 とか言ってきたし。

 「こっちの話になっちゃうんですが、今度、カクレオン商店が別の地域に2件増えることになったんですよ〜。


 カクレオンが綿菓子を作りながらそう言ってきた。唐突に宣伝されたよ。

 「へぇ…そうなんですか…。」

 「お近くにお寄りの際は、ぜひお立ち寄りくださ〜い。」
 場所はどこなのよ。まぁこの町からどうせ出ないし、聞いてもしょうがないか。

 「はい、綿菓子3つ、お待たせしました〜。」
 大きくふくらんだ綿菓子3つをつぶさないように受け取った、割り箸、輪ゴムに袋とシンプルな綿菓子だ。

 えっと…。あぁ、カクレオンのが『イカしたハイカラな柄』か。

 俺はチコとロゼリアに綿菓子を渡すと、二人は早速袋を開けて、食べ始めた。当然、俺もその場で食う。綿菓子

って持ち帰るとしぼんじゃうよな。

 「あれ?」
 ちっとも前に進めやしない行列を少しずつ進んでいると、チコが急に声を上げた。

 「ん?どうしたの、チコ?」

 「ゴメン!ちょっと先に行ってて!。すぐに追いかけるから。」

 「あ!ちょっとチコ!!」

 「どうしたのかしら?初恋の人でも見かけたの??」
 …いやいや。

 「まぁいいわ。二人でお店まわりましょう。アベックで。」

 追いかけたいのは山々だけど、あっとあっという間に人ごみにまぎれちゃったし、第一ロゼリアに腕をしっかり

と掴まれている。軽く痛い。

 まぁいいか。あのチコの性格だし、そう遠くへは行かないだろう。

 俺とロゼリアは、二人で露店回りを続けた。

―――――――――chapter24 メルカート創立祭:END chapter25 二人のサーナイト に続く―――――――