――――――――――――――――――chapter22 風邪引きデンリュウ――――――――――――――――――
いつものように伝言板を見に行くと、依頼が一件だけ届いていた。
「今日の依頼は、誰からかしら…。え!」
チコはその依頼の内容を見るなり固まってしまった。
「え、どうしたの?チコ?」
これだけ固まるということは、よっぽど難しい依頼が来てるかな。
「シンゴ…依頼主の名前…。」
チコ、あまりの驚きで話し方が、軽くヤドンさんみたいになってるよ。見たくないけど、仕方ない。腹をくくっ
て俺も見るか。えいっ。
「チーム…(!)…えぇえ!」
そこにかかれているのは、レジェンドクラスにも関わらず、おそらく俺たちがこの町で一番深く関わっている調
査隊の名前だった。
「ポ、ポ、ポケドーロさんからの依頼よ!!。ど、どうしましょうか!?」
と言われても、
「ちょ、ちょっとチコ。お、落ち着いてよ。」
…俺も落ち着けよ。
俺とチコは一度、深呼吸をして落ち着いてから、もう一度どんな依頼か詳しく知るために貼られている内容を見
た。
「『3人そろって、基地で待ってるわ。ここに書くと長いから、詳しい話はそこでしましょ。』…ですって。」
簡素な文章だ。
「とりあえず、行って見ましょうか。」
なんとなくぎこちない足取りでポケドーロの基地に向う。
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この間来た時は、敷居をまたいだぐらいで、すぐに出ちゃったし、どうせどこも同じだろうと思ってあんまり見
てなかったけど、ポケドーロの基地内は全部自分達で飾り付けしたのか、飾り棚のキレイなガラス細工の花瓶には
花が活けてあり、丸くて小さいタイル張りのテーブル、窓にはキレイなレースのカーテンもかかっていて、どれも
女の子が喜びそうだ、そしてどことなく高級感にあふれていた。俺とチコの基地は何にも置いてないんだよな。
ベットまであるよ…レジェンドクラスってもうかるんだな。ミロカロスとグレイシアはそのベットの前で心配そ
うな面持ちをしていた。
グレイシアは俺たちの気配に気が付くと、
「あ〜チコにシンゴ、依頼、見てくれたのねぇ?」
と言った。
「ミミさん、グレイスさん。おはようございます。今日はどうしたんですか?」
チコの問いかけを受けミロカロスが、
「ちょっとデンデがね…。」
と言った。
ミロカロスが見たベットにはチームメイトの一人デンリュウが寝そべっていた。顔が赤く、かなり具合が悪そう
だ。おでこにはタオルが乗せてある。近くには水の入っている洗面器がある。デンデって名前なのか。ケホケホ言
っている、大丈夫かなぁ。
「今日はこの子に、みかんを取って来てほしくて。」
みかん?
「みかんですか?」
「この子の好物でね、どうしても食べたいって言うの。それに病気にも効くでしょうし。」
食べたいだけかよっ。
「それにあなた達、もっと上のランク目指してるんでしょう?。」
ミロカロスは思い出したように言った。そういえば俺たち、まだこのメルカートの調査隊の中で一番下だったっ
け…。
「え、えぇ。そうですけど…?」
「調査隊同士の依頼ってポイント高いのよ。それに簡単な依頼だし、あなた達にピッタリな依頼だと思って。」
「ほんとは私たちが行くのがいいんでしょうけど、出来れば、この子の側を離れたくなくて。」
「もし〜、忙しければ〜、グレイスが行くから〜。」
グレイシアが話に割って来た。
「今日は特に急ぐ用事も無いので、大丈夫ですよ。」
まぁ、一件しか来てないしね。
「『みかんの森』っていう果樹園にあるから。」
そのまんまだな。
「えっと、どうやって行くんですか?」
「そうね…。」
とミロカロスは少し考え込んでから、
「グレイス、あなたちょっと案内しなさい。」
と言った。
「え〜、グレイス、そんなこと出来な〜い。」
「ここで何十分もかけて地図に道、書いて説明するより、あなたが案内するほうが早いわ。」
確かに。
続けてミミが、
「それにあなたさっき『忙しければグレイスが行く』って言ってたでしょ、って言うことは特に用事もないんで
しょ。」
と言った。確かに。
「う〜ん、、じゃぁしょうがないからグレイス、行くわ〜。」
グレイシアは面倒くさそうにしぶしぶ承諾した。
「じゃぁ〜、シンゴ、チコ行きましょ〜。」
「は、はい。シンゴ行くわよ。」
「ほい。」
俺とチコはグレイシアに付いて行った。
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「、、デンデ…早くよくなってね。」
「ゴメンね…ミミ。ケホ、ケホ。」
「いいのよ、大切なチームメイトでしょう?」
「うん…。」
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グレイシアの後姿を追いかけながら、見慣れぬ道を歩いていると、グレイシアが急に立ち止まり後ろを振り向い
て、
「あ!グレイス、忘れるところだった〜」
と話しかけてきた。ん?何事か?
「え?どうしたんですか?」
「昨日『吹雪の遺跡』っていうフリーザーがいる〜、ダンジョンに〜行ったの。」
「、、、はい?」
「そこでね〜う〜んと、そうそう。夕方頃、歌姫のサーナイトさんに会ったの〜。」
「え!?」
俺とチコは顔を見合わせた。
「それでね〜。『旅は今のところ順調だから心配しないでください。』って伝えてくださいだって〜。」
「、、そうですか。」
それを聞いてチコは複雑な表情をした。多分今、俺も同じような顔してるだろう。
「ん〜いいお天気よね〜。」
俺たちの表情の変化に気が付かないグレイシアはのんきそうにしている。やれやれだぜ。
グレイシア、、「も」昨日、サーナイトさんに会った…?。
「グレイスさん、その『吹雪の遺跡』って『ささやきの森』からどのくらい離れてるんですか?」
「う〜ん、メルカートから反対方向だし〜かなり離れてるわよぅ。片道3時間、くらいじゃなぁい?」
それじゃ夕方頃、二つの場所に、同じサーナイトさんが出現していた事に…?。う〜ん。
セレビィで時渡りでもしたのか…?。でもセレビィで時渡りすると、なぜか姿形が変わっちゃうし、記憶も一時
的になくなっちゃうからなぁ…。う〜ん。ありえないなぁ。
「ここよ、ここ〜。着いたわ〜。」
いつの間にかまわりの景色もすっかり変わっており、目的地『みかんの森』に到着していた。
みかんの森は俺たちより少し大きいくらいの木がたくさん生えており、どれもこれもみかんがなっているが、ま
だ青く、食べ頃では無い感じだ。
「う〜ん、この辺は〜ダメみた〜い。多分一個ぐらい〜、いいのがあるから〜、手分けして探しましょう〜。」
日当たりがいい所では食べ頃のみかんも多分あるだろう。
一人ずつ3方向に分かれて30分したらこの場所に戻って来ることを決め、探すことにした。
―――――――――chapter22 風邪引きデンリュウ:END chapter23 みかんの行方 に続く――――――――