―――――――――――――――――――chapter21 あさひのほうじゅ――――――――――――――――――

 ジュペッタのトレード店に行こうと、一度中央広場に出ると、ムクホークさんがこっちへ近づいてきた。この人大体半日で情報を得るんだろうか。

 「チコさんシンゴさん、探していました、情報ありがとうございます。いまだにファドルスの確信に迫る情報が少ないもので。」

 「実はあなた達の前にも『チームKHY』という子ども達に話を聞いてきたんです。」
 そんなところにも行くのか。警備隊は。

 「今お時間大丈夫でしょうか?」

 「はい、もちろん」

 「ここでは何なので…」
 と言いながらムクホークと俺達は以前と同じようにリストランテに行った。

 ムクホークの姿を見止めるとバリヤードは俺たちを隅の席へと案内した。

 ダンジョンでの話をムクホークは子ども達の話と照らし合わせるようにしながら聞いた。

 「そのポケモンの色は何色でしたか?」
 ヨーギラスにも同じ質問してるのかなぁ。

 「俺は良く見えなかったな…チコのほうが近くにいたよね?」
 俺はチコに振った。

 「赤っぽかったです。」
 チコはハッキリそう答えた。見えたんだろうな、チコは。

 「他にそのポケモンの姿について解ったことは?」

 「頭に付いているのは帽子でなくて星です、この間わかりました。」
 あれは星だったのか。

 「…なるほど、他に気がついた事はありませんか?」
 ムクホークはあらかた聞き終わってか、そう聞いた。

 それに対してチコは
 「声、ですかね」
 と言った。

 「声?」

 「なんというか…壊れたブザーというか…変な鳴き声でした。」
 俺は聞こえなかったけどなぁ。

 「それは『ブー』とか『ビー』とか言う鳴き声でしたか?」

 「どちらとも取れるような声でした。」

 「そうですか…。」

 「もしかするとファドルスは複数犯かもしれないという、見方も出てきたのですが、あなた達が見たのは一人でしたね?」
 複数犯!?。怖いなぁ

 「はい。」

 「ご協力ありがとうございました、ヨーギラスさんの証言とほぼ一致したので、かなりの前進です。」

 「ファドルスは身長1mくらい、海老のような体格で、おそらく4つ足歩行、色は赤っぽく、頭に星の飾りが付いているということですね。」
 ムクホークは前回の俺たちの話もまとめてそう言った。

 「私はここで捜査に戻ります。ではまたなにかあったら連絡ください。」
 今日はコーヒーを飲む暇もないのか、ムクホークはすばやく立ち去った。

 「はぁ…お腹すいちゃったね。」
 今日はついでに昼飯食ってからまたジュペッタの店に行くか。

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 「こんにちは…また来ました。」

 ジュペッタのトレード店に入ったがまた店長の姿が見えない。今度はどこから湧くのかな…。

 暗がりに目がなれないでいると、壺の脇から赤い光が二つとかぼちゃのオバケみたいな口元が見えてきた。

 ひぃいいいいぃ!!でたぁああぁ!!

 「いらっしゃぁい。また来たね。」
 なんだジュペッタさんか、なんだ。良かった。怖いから店の中もう少し明るくしない?

 「手に入れたんだね?『チコリータのツメ』」

 「は、はい。これがそうです。」
 チコは二つの道具をジュペッタに渡した。

 「じゃぁトレードするよ。代金150ポケだよ。」

 チコと俺は半分ずつ代金を払った。

 代金を受け取るなりジュペッタは俺たちに背中を向けながら、怪しい煙が立ち上る壺に道具を二つとも投げ込んだ。それをジュペッタは手でかき混ぜている。

 混ぜている間ずっと横目で俺たちの事を見るのやめてくれないかな。怖いよ。半笑いだし。

 「おぉお!」
 壺が突然まばゆい光を放った。店内は一瞬で光に包まれる。うわぁ。まぶしいっ。何が起きたんだ!?。

 「どうやらトレードが成功したみたいだね。」
 と言いながらジュペッタは壺の中から道具を取り出した、今のがトレード成功の合図みたいなものなのか。まったく別の道具になっているこれが『あさひのほうじゅ』か。その珠は小さいながらも光り輝いていた。

 「これを持ってれば装備しなくても攻撃と特防が上がるよ。ダンジョンに行くときは持っていくんだねぇ。」
 おぉ、すげぇ。

 「ありがとうございます。ジュペッタさん。じゃシンゴ、いい道具も手に入ったし早速ダンジョン行きましょうよ」

 「うん、」

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 今日は「ささやきの森」に行った。一時期俺たちによるファドルスの目撃談で、閉鎖されていたが、それも今日やっと解かれた。

 ささやきの森は「雫の山」ほどは木が多くなく、道も地面がむき出しながらもキチンと整備されている。

 木漏れ日もほどいい具合に漏れてきて森林浴には適していそうな環境だ。チコはこの環境大好きみたい、今にもスキップしだしそうだ。しても足短いから多分わかんないけど。

 森の中は、程よい風で木々が揺らぎ、まるで誰かがささやいているようだ。

 俺とチコはダンジョンに入っていつも通り依頼の品を探す。

 「あ、あったわ!シンゴ。」
 なんだ、意外にあっさり見つかっちゃったな。

 「さて、帰りましょうか。」

 俺とチコがメルカートに戻ろうとすると、部屋の隅っこの通路から誰かが入ってきた。見覚えのある人影だ。

 「サ、サーナイトさん!?どうしたんですか、こんなところで。」
 チコが驚いてそう話しかけると、サーナイトは慌てて、もと来た道を引き返してしまった。

 「あ!ちょっとサーナイトさん!?」

 俺とシンゴは反射的にサーナイトさんを追いかけたが…?。う〜ん、どうやら見失ってしまったみたいだ。

 「こんな所で何してるのかしら…?私たちを見て逃げるなんて、、、。人違い、、では無かったわよね。どうしたのかしら。」
 確かにあのサーナイトさんだったよな…?。昨日の午前中に旅に出た。

 なんとなく腑に落ちない感じがしたが、もう遅いので俺達はメルカートに戻って寝ることにした。

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 「サーナイトさん、どうして逃げたのかしら?」
 チコは俺たちの基地の寝床に着くなり、そう切り出した。

 「変だよねぇ、あのサーナイトさんが逃げるなんて。」
 それに今この町の周辺にはいないはずだよな。

 「私たちだって気がつかなかったのかしらねぇ。」
 チコはおおよそありえない仮説を立てそう言った。俺たち二人がハッキリ見えたんだからサーナイトさんが見えなかったわけが…。

 「ふわぁあぁ…不思議な場所の中だからかしら。わたし難しいこと考えるの苦手なのよね…もう寝ましょ。」
 楽観的だなぁ。

 「おやすみ、シンゴ。」

 「おやすみ、チコ。」

 何か理由があっていたのか…。そのうち解るかなぁ。最近、謎な事が多いなぁ。チコの家族についても詳しく聞けてないし、チコの性格だから自分から切り出してくれると思うけど。

 まぁいいや、俺も寝ようっと。

 Zzz…。

――――――――chapter21 あさひのほうじゅ:END chapter22 風邪引きデンリュウ に続く―――――――