―――――――――――――――――――chapter19 チームKHY?――――――――――――――――――

 「えっと今回は『雫の山』ね、昨日と同じとこね。」
 また水タイプと、バトルか。

 「依頼は…『チームKHY』…??」
 チームKHY?新しい調査隊か?

 「『ぼくたちのなかよしなかまのよーぎらすがまいごになりました。たすけてください。』」
 平仮名ばっか…。

 「それしか書いてないわね…。」

 「とりあえず、行ってみましょうか。」
 そうだな、謎だらけの依頼だけど。第一、チームKHYって?聞いたこと無いぞ。少なくてもこの町の調査隊ではないな。

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 雫の山はいつもキリがかかっていて、じめじめとしている。草や木が生い茂っていて、日もあまり当たらない。そのせいか、コケもあちこちに生えていている。

 俺はこの環境好きだけど、チコはあんまり好きじゃないみたいだ。

 時々苔生した岩を踏んで足を滑らせて転びそうになる。コケの生えた岩と地面を見分けながら山を登る。

 洞窟見えてきた。洞窟ってダンジョンの入り口としてとても解りやすくていいよな。

 このダンジョンにも注意を促がす立看板があるが、その看板は立てられたばかりらしく、まだ真新しい。

 よく見るとその看板の回りには、あちこちにコケだらけになって朽ち果てた看板の欠片が見止められる。ここ、湿っぽいからなぁ。

 ところで依頼人の姿が見えないけど。

 *「来たなぁ!悪者め!!」
 な、何者っ!、、、えっと…一応ノッといた。

 「とお!」
 急に二つの影が木の上から飛び降りてきた。子どもってどうしてこんな無茶ぶりをするんだろう。

 「いてっ!」
 ところが一人は着地を失敗してこけた。痛そうだな〜今の。

 「大丈夫か!衛生兵〜。衛生兵〜〜。」
 どこで覚えたんだよそんな言葉、その二人組みはヒトカゲとケーシィまだまだ子どもだ。最近子どもに良く会うな。気のせいか?

 「うん、大丈夫…。KHYのK、頼れるチームリーダー、知的なケーシィ!」
 自己紹介が始まった!?。

 「KHYのH、チームを支えるリーダー、力自慢のヒトカゲ!」
 子どもってどうしてこんなにテンション高いんだろうな。

 「…。」
 ん?どうしたんだ、二人とも黙りだしたぞ。

 「あ!一人いないんだ…この後『KHYのY、最強のリーダー、防御のヨーギラス!…3人合わせてチームKHY!』…と続くの」
 とケーシィは言った。知らねぇよ。っていうか全員リーダー!?。

 「だからヨーギラスを助けて。」
 前フリ長すぎだろっ。

 「うん解ったわ、お姉ちゃんが助けてあげる。」
 チコは優しく言った。

 「子ども扱いすんな。」
 うわぁ、かわいくねぇ。

 「一応警備隊なんだぞ。」
 といいながらケーシィは警備隊のバッチを見せた。『ちいむ けいえつちあい』って書いてある、『あい』じゃなくて『わい』だよ。そのバッチはダンボールを不器用に切って作ってある。二人ともそれにリボンをつけて、首にかけていた。

 チコと俺はちょっと恥ずかしかったけど、いつも通り『ファイト』の掛け声をした。

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 「将来の夢は警備隊なの?」
 チコはダンジョン内に入ってから聞いた。

 「うん、かっこいいんだもん。」
 とケーシィ。続けて、

 「ぼく将来ムクホークになるの」
 キミは将来フーディンだよ。

 「だから、ああやってチームの掛け声を練習しているの。」
 と言った。何がどうなってその結論に行き着いた!?。なんか警備隊を勘違いしてないか。まぁ子どもだししょうがないか。

 「お〜い、ヨーギラス〜、どこ〜?」
 ヒトカゲが急に叫びだした。子どもってどうしてこんなに支離滅裂で脈絡が無いんだろう。

 そんなに叫んだら野生のポケモンに気が付かれちゃう…。

 と思ったら案の定部屋の通路からキャモメが飛び出してきた。

 「はっぱカッター!」
 チコリータはあっさりとそれを追い払った。

 「あら…?」
 いつのまにか二人はチコの後ろに隠れていた。しっかりチコの短い手を掴んでいる。歩けないだろっ。

 「ぼくやっぱりチコリータになる。」
 とケーシィは言った。どっちだよ!。

 「えっと…もう大丈夫だから、、、。ほらお兄ちゃんのほうに行きなさいよ。」

 「やだ。」
 二人で声をそろえてそう言った。

 「あのお兄ちゃん、なんか怖い。お姉ちゃんのほうがいい。」 
 子どもって時に残酷だよな。

 「ほら、ヨーギラス助けに行けないよ?」

 「え〜やだよ〜。」
 と言いながら二人とも手を離した。子どもって時に素直だな。

 その後何回か野生のポケモンと遭遇した。俺が野生のポケモンをやっつけたので、少しは二人の尊敬を得られたらしい。

 しばらくすると、開けた空間に出た。そこには一匹のポケモンがいた。周りには木が生い茂っている。

 ヨーギラス、、?と思ったが、どう考えてもヨーギラスよりはでかい。それにこの影…見覚えが。

 「ファ、ファドルス!」
 そうだ、6日前にオタチの依頼をこなすときにダンジョンで見た怪しい影だ。

 *「…。」

 「え?」

 その怪しい影は何も言わずにチコが思わずあげた声を聞いて逃げてしまった。

 *「怪しい奴め、逃げて行ったな!」
 なっ何…もういいか。

 「とおっ!」
 やっぱり木の上から飛び降りるんだな。

 「ヨーギラス!」
 とヒトカゲが言った。

 「ここは俺に任せておけ」
 何をだ。

 「KHYのY、最強のリーダー、防御のヨーギラス!」
 でやっぱり自己紹介するんだ。

 「3人合わせてチームKHY!」
 最後は3人で声を合わせてポーズをつけながら言った。

 「うん、お姉ちゃんにお兄ちゃん、ありがとう。僕たち将来やっぱりお姉ちゃんにお兄ちゃんみたいな調査隊みたいのになる。」
 ケーシィが言った。それにしてもころころ変わるな。

 もしこいつらが進化したら、チーム名変わっちゃうだろうに。一回進化で、チームYLSか?。次はチームF…、まぁいいか。…でもこういう子どもに限って将来まともな大人になったりするんだよな。

 「これ、あげる。」
 お、お礼か?。あんまり期待してなかったけど。

 「これ、なぁに?」

 「トレーディングカード、多分」
 トレカかよ。そのカードの真ん中にはチコリータの絵が描いてあり、ホログラムでキラキラしていた。

 「キラカードなんだよ!ダンジョン内で拾ったんだよ!」
 ヒトカゲが補足説明をした。拾うな!、というか入るなよダンジョンに。

 「じゃ、3人揃ったし、探検の続き!」
 やるな!。

 「それはダンジョン出てからにしようね」
 とチコは言った。俺たちと3人はダンジョンを脱出した。

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 外に出ると3人は元気いっぱいで一人が
 「僕、チコリータの役ね。」
 と言った。早速、真似されてる。

 あのまま遊びながら帰るのかな。

 報酬はトレカ一枚。

 まぁ依頼人が依頼人だししょうがないな。今日はもう帰るか。

 「報酬はトレカかぁ…。」
 帰りながら俺が漏らした。

 「シンゴ、これ、ただのカードじゃないみたいだけど…?」
 さっきからチコはそのカードをじっと見つめている。

 「え?、俺には普通のカードにしか見えないけど。」

 「これ多分、『チコリータカード』よ!」

 「何それ?」

 「トレードに使える道具…らしいわ。詳しくは知らないんだけど」

 「トレード?」

 「メルカートにもお店があるわ、いままで行った事無いけど、そこに明日行ってみましょうか。」
 そういえば初日に聞いたことがあるような。

 「そうだね。もう遅いし、メルカートに帰って寝よう。」

 あの子ども達はどこに住んでいて、いつまで遊んでるんだろう。と気になっていたら、途中で子ども達が俺たちを抜かして行った。やっぱり帰るんだ。

 俺たちも、メルカートに戻った。そして伝言板に今日のダンジョンで見かけた『ファドルス』らしき人影について、書いて貼っておいた。

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 「お休み、シンゴ」

 「お休み、チコ」

 Zzz…

――――――――chapter19 チームKHY?:END chapter20 ジュペッタのトレード店 に続く――――――