―――――――――――――――――――chapter17 サーナイトの疑問――――――――――――――――――
リストランテには、どうやら早く着きすぎたようだ。コンサートの準備がまだ出来てないらしく、バリヤードがテーブルを運んでいる最中であった。バリヤードは俺たちに気がつくと、用意が整ったテーブルで待っていてくださいね、と伝えた。まだ誰も来てないよ。早く来すぎたかな?
バリヤードのてきぱきした仕事ぶりを見ながら、今日のドンさんやロズレイドさんの話をしながら、のんびりとしていた。
ひと段落したバリヤードさんは、『おごりです』といいながら、チコにはパフェ、俺にはジュースを持って来た。そしてテーブルに腰掛けると、自分はコーヒーを飲み始めた。な、なんだなんだ?。
「チコさんこちらに戻ってこれて本当に良かったですねぇ」
その話か。
「信頼できるパートナーって本当にいいもんですよねぇ」
としみじみ言った。なんかバリヤードさんいつもと違うな。
俺とチコが曖昧に頷いていると、
「私もねぇ、こうやってリストランテがはやってくれて、とてもありがたいんですが、私と一緒に力を合わせてくれる人がいてくれるといいなぁ、なんて思ったんするんですよ…。な〜んてね。ははは、忘れてください。」
と言った。バリヤードはコーヒーを飲み終わると、また仕事に戻っていった。
以外にこういう話を話す人がいないのかなぁ。料理人ライチュウは…?、もしかしたら同じ話してるかもしれないけどね。
チコと俺でバリヤードさんの話について話しながら、しばらくすると、ドアを開けて誰か入ってきた。
「サーナイトさん。」
とチコはやや驚いた顔で言った。そういえば、サーナイトとチコはかなり前から知り合いなんだよな。
「あら、お二人ともお早いですね。」
サーナイトは俺たちの姿を見とめるとちょっと改まって、
「音合わせまでには、まだ時間があるので、お二人にお話したいことがあるんですが…。ここ、よろしいですか?」
と言いながら、空いている席に座ってもいいか訊ねた。
「もちろん、いいですよ。」
チコはそう答えた。
「失礼します。」
そう言いながら軽く会釈をしてサーナイトは席についた。礼儀正しいなぁ。 ひょっとしてチコの礼儀正しさはサーナイトから受け継いだのかな。
「実は気になっていたのですが、チコさん。」
「はい?」
「この世界へ戻って来た時のことが私にはよく解らないのです。」
そういえば何でチコはこの世界へ戻ってこれたんだろう。昨日の今日だしまだ詳しく考えたことなかったな。
「私はてっきりサーナイトさんが何かしたものと思ってましたけど…」
そうそう。俺もそう思ってた。
「いえ、申し訳ないんですけど、チコさんとシンゴさんが離れ離れになる時も何も出来ずにいました、私にはそこまでの力は無いもので…。すいません。」
とサーナイトはチコと俺に詫びた。サーナイトはこの世界へチコが来るのを手助けしただけって事だろうか。
そして続けて、
「ここに戻って来た時のこと詳しく知りたいんです。」
「はい。えっと…私が元の世界に戻されていると、声が聞こえたんです。」
「声…ですか?」
「『あなたにはまだ大切な人と調査隊を続ける使命が残ってるでしょう?』って言ってました。」
「…そうですか。」
サーナイトはあごに手を当てて考え込んでいる。確かにナゾな話だ。
「…明日大丈夫ですか?」
サーナイトは何か思い立ったようだ。
「は、はい。大丈夫ですけど。」
「シンゴさんはどうですか?」
「えっと、大丈夫ですよ。」
「もしそうなら、明日似たような事が過去にあったかどうか、図書館で調べてみたいと思うんですが、どうでしょう?」
「はい。もちろんいいですよ。私も不思議だと思ってました。朝起きたらすぐに行きます。」
「ありがとうございます。私も出来るだけ早く行きますね。3人で一緒に調べましょう。」
サーナイトは微笑みながらそう言った。
ちょうどそこまで話終わった時に、ピアニストのスバメが入って来た。
「あ、すいません。私はこれから音合わせをしなければならないので、これで失礼いたします。」
席を立ちながらもサーナイトはやはり軽く会釈した。
まわりを見るといつの間にかテーブルも並べ終わっており、人もちらほらと入って来ていた。この時間からコンサートを楽しみに来ているんだな。明日も休みだし夜遅くまで楽しむのだろう。
さてコンサートが始まるのを待ちながら、のんびり飯でも食いますか。
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「今日の『ビー・ウィズ・ユー 〜いつもそばに〜』の歌、良かったね!」
先週はシンデレラだったからサーナイトさんって昔話が好きなのかなと思ったけどそういうわけでも無いらしい。
今日はスバメとのデュエットだったな。弾きながらも歌えるのか。俺には到底無理だ。
今日サーナイトが言ってた事…。今まで『帰って来れたから良し』としてたけど、なんでチコは戻って来れたんだろう。考えれば考えるほど、不思議な話だ。
いくら考えても結局何も解るはずもなく、サーナイトの歌の感想を述べているうちに基地についていた。もちろん日課の貝拾いは忘れない。
「おやすみ、シンゴ」
「おやすみ、チコ」
明日調べてどこまで解るかなぁ。
Zzz…。
―――――――――chapter17 サーナイトの疑問:END chapter18 サン・ポケの足跡 に続く―――――――