*「お前、誰だ?」

―――――――――――――――――――chapter15 2つ目の物語――――――――――――――――――――

 チコが無事に町に戻ってきたことでチームコソドーロを除いたすべての調査隊が喜んだ。バリヤードさんも自分の妹でも帰ってきたかのように喜んでくれた。

 「さ、今日も朝から頑張りましょ。」
 またチコと冒険が続けられる。

 「うん、とりあえず伝言板。見に行こうか。」

 「あ、珍しくやる気満々ね。」
 ほっとけ。

 リストランテを出て、美術館のほうに向かって行くと、向こうからガルーラおばちゃんがバタバタと走ってくる。

 「チコちゃん!チコちゃん!、それにシンゴちゃん!」
 また俺、ついでかよ。

 「どうしたの、ガルーラおばちゃん。そんなに慌てて。」

 「伝言板よ!。もう見たかい?」
 今度は一体何が!?。

 そうそう、あの後。俺がバリヤードに話したのと、ポケドーロが聞かれて説明したところから噂が噂を読んで、もうチコが人間であるという事を知らない奴はこのメルカートにほとんどいない。

 でもその後も、皆、依然と同じようにチコに接している。中には『こんなに沢山ポケモンがいるんだもの、一人や二人、人間がいてもおかしくないよ。』という人までいる。それはそれでどうかと思うけど。

 でも俺が伝説のポケモンであるということはもちろんチコしか知らない。チコの性格からいって、俺が話さないことは誰にも話さないつもりだろう。

 「大変だよ〜。もうおばちゃん、大感激よ。お手柄だったねぇ」
 と勝手に感動している。何が!?。

 『さぁ早く早く!』というおばちゃんの声に促がされるようにして、俺達は伝言板へ急いだ。

 「えっと今度は何かしら…『チームS&Tのシンゴとチコのランクをその偉大な功績をたたえ、ビギナークラスからネクストクラスへ昇格とする。』…」
 随分と簡素にその一文だけ書いてあった。

 「えぇ!。本当に!?。やったね、チコ!」

 「うん!。やったね、シンゴ!」
 チコもうれしそうだ。ようやくランク上がったな。長かったような、短かったような。まだ1週間しかやってないけど。

 これで仕事の依頼の報酬も少しは増えるだろう。

 「…今日の依頼は、『雫の山』ね。」
 新しいダンジョンだな。

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 その後俺達は無事、雫の山に行って依頼品を取ってきた。そこまで遠くないダンジョンで、あんな経験をした後だったからか、なんだかとても楽だった。水系の奴らばかり出てきて面倒くさかったけど、メルカートに帰ってきたらお昼をちょっとまわったくらいだった。


 ご飯を食べて中央広場に出ると、見慣れない6匹のポケモンがなんだか場慣れしない感じでそわそわしている。誰かを待っているようだけど…。

 その6匹は、家族らしく、エーフィー、サンダース、シャワーズ、ブースターの中年の2組の男女と、どちらかの子供らしきリーフィアとイーブイ。

 …なんだろう、と て つ も な く 嫌な予感がするのは。

 俺は似かよった2匹にどこかであったような気がするんだよ。かれこれ4日前かな。

 「何かお探しですか?」
 チコはその6匹の集団を気にかけ、話しかけた。

 「いえね、今日は娘に会いに来たんですよ。」
 サンダースがそう答えた。あ、やっぱり。多分父親だな。

 「でも、基地の場所が解らなくって。」
 エーフィーが続ける。母親だろう。

 「娘さん、、、ですか?」

 「チコ…ポケドーロのグレイスさんじゃないかな?」
 と俺が言った。

 「そうそう、良くご存知ですね!」
 エーフィーは俺に向って言った。

 さっきからイーブイとリーフィアは全く喋らない。人見知りなんだろうか。それにしてもこの家族、文字通りの『イーブイ一家』だな。

 「あの…基地までご案内します。」
 グレイシア、いるかなぁ。あの人の性格からして忘れてそうな気もする。俺のイメージだけど。

 「ね〜おなかすいた〜ジュースはぁ〜。」
 急にイーブイが口をきいた。言葉の伸ばし方が姉に似てる。遺伝か?

 「まだ。お姉ちゃんと会ったらね。」
 と、リーフィアがイーブイをたしなめた。イーブイの姉かな?。この間ブラッキーが妹って言ってたから、多分グレイシアよりは下だろう。

 まだイーブイはほんの子供だ。ん?シャワーズとブースターの続柄はなんだろう?とちょっと気になる。少なくてもおじいさんおばあさんでは無いようだ。

 『あぁ、すいません助かります。』とガヤガヤ賑やかな6人を連れてポケドーロの基地に向った。ポケドーロの基地は中央広場から見て、一番手前にある。ものの5分もかからないうちに付いた。

 「こんな近くにあったんですか、いやぁこの辺にまったく詳しくないので。」
 グレイシアの性格じゃ、ここまでの道もまともに説明してなさそうだもんな。

 「グレイスさん、、いますか?」
 チコは基地を覗いた。

 「あ〜チコじゃな〜い。元気〜?」
 元気だよ。

 「グレイス、ちゃんとご挨拶しなさい!」
 父親(サンダース)がそう叱った。

 「この方達に案内していただいたのよ。」
 母親(エーフィー)もそれに続く。

 「パパ!ママ!!」

 グレイシアの姿を確認するやいなや、シャワーズとブースターは基地にずかずかと入って行った。

 「グレイス!元気にしてたか?大きくなったなぁ!」
 とブースター。中年男性。

 「グレイス、誕生日プレゼント。これで良かったかしら?」
 とシャワーズ。中年女性。二人ともとりあえず空気読め。にしても二人とも甘いな。

 「おじさん!おばさん!!」
 さっきと全く同じ反応のグレイシア。おじさんとおばさんだったのか。いとこもいるのかなぁ?

 そのゴタゴタの中イーブイの手をしっかり握ってるリーフィアは俺とチコに向って『案内してくれてありがとうございました。』と頭を下げた。しっかりしてるなぁ。(…姉が反面教師?)。

 今日、土曜日だから6人揃って誕生日の祝いなおしか。お兄さんは今日は忙しかったんだろうか。

 その後グレイスことグレイシアは、俺とチコに『え〜、どうして〜一緒にお祝いして〜』と言っていたけれど、さすがに気まずいってレベルじゃないので、やめておいた。

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 「すごい大家族だったね。」
 4日前に家族構成は大体聞いてたけど、実際に目の当たりにすると凄いな。

 「うん、面白い人たちだったね。」

 「そういえばチコって人間だった頃、家族っていたの?」
 ふと気になった。

 「シンゴは?」

 「うーん…、伝説のポケモンに家族はいないからなぁ。親友ならいたよ。」
 例のナゾの声の持ち主だ。でも、名前が思い出せない。まだ全部思い出したわけではないようだからな。

 「シンゴは、他にどんな伝説のポケモンと会ったことがあるの?」

 「俺のいた未来でグラードンとカイオーガを止めるために色々会ったね。」

 「ひょっとしてその中にジラーチもいた?」
 チコの憧れの伝説のポケモン、サン・ポケのジラーチか。チコはなんとなくうきうきしながら聞いていた。

 「ジラーチはいなかったなぁ。小さいし戦力にならないんじゃないかって自分から来なかったんじゃなかったかな。」

 「なんだぁ。がっかり…。」
 俺やフリーザーやグラードンやカイオーガじゃ魅力が無い、と?。

 「ねぇ、チコは家族っていたの?」
 俺はもう一度聞いた。

 「…S&Tの家族、いたわよね。」
 え?

 「ねぇ、スボミーちゃん、今どうしてるかなぁ?」
 3日前にドンに預けて忙しくてそのままだった。

 「今から会いに行きましょうか!」
 チコも俺も気にはしていたんだけど。

 なんだか話をそらされた気がするけど、チコ、この話題には触れられたくないみたいだ。まぁそのうち話してくれるだろう。

 俺とチコはドンの城に向かった。


――――――――――chapter15 2つ目の物語:END chapter16 ドンとスボミー に続く―――――――――