―――――――――――――――――――chapter13 すべての原因――――――――――――――――――

 銀の洞窟に着くと、すでにそこには誰かいるようだ。

 「ミっ、ミミさん!」
 チコはいきなりミロカロスにあってびっくりしている。

 「あら、あなた達。また会ったわね」

 「ど、どうしたんですか。こんな所で?」

 「風景を楽しんでいるように見える?」
 見えない。

 「昨日あなた達から聞いた話が気になって、調べに来たのよ。こんな初歩的なダンジョン久し振りね」
 まぁこの人の性格から大体想像ついたけど。
 
 「そうなんですか…。」

 「丁度いいわ。あなた達一緒に行かない?」
 ミロカロスは突然の思いつきでそう言ったように見えた。

 「え!いいんですか?私たちビギナークラスなんかと。」
 そりゃそうだよなぁ。調査隊憧れのレジェンドクラスの人だもん。

 「いないよりはマシでしょ?それにランクは関係ないわ。」
 相変わらず冷たいことをハッキリ言うなぁ。
 
 「さ、迷ってる時間があるならさっさと行くわよ。」

 「あ、はい。」
 チコと俺は慌ててミロカロスについて行く。

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 ミロカロスは各フロアの階段まで一直線に向かっていく。少しも無駄な道は通らない。一体どうやっているんだ?

 と思ったら何か顔に付けてるな。それに対してチコが言った。

 「なるほど『みとおしめがね』を使ってるのね。」
 どこかで聞いたことあるな。

 「あぁ、この間倉庫を整理していたときに出てきたやつか。」
 サン・ポケ美術館のときのあれか。

 「さすがに、レジェンドクラスね。いい道具使ってるわ。」
 この道具の効能を目の当たりにしてこの道具が欲しくなった。もし余って持ってたら欲しいな。

 「こっちよ!」
 当たり前といえば当たり前だが、いつのまにかミロカロスが先導していた。にしても移動するの早ぇ!

 この道具のおかげか野生ポケモンにほとんど出会わないし、出会ってもミロカロスが通常攻撃一回であっさり追っ払ってしまう。それはそれでありがたいけど、修行の成果が解らないよ。

 何階か下に降りて、そのフロアをまた進むと、しばらくして急にミロカロスが立ち止まった。

 「階段はこの部屋だけど、この部屋、モンスターハウスね。」

 「え、どうして解るんでしょうか?」
 チコはミロカロスに聞いた。チコも昨日嫌な予感はしていたが、ここまでハッキリとは解らなかった。

 「見て、不思議な床が1つの部屋に2つもあるでしょ。それにお金に不思議だま、技マシンも落ちてるわ。」
 ミロカロスはちゃっちゃと説明した。目を凝らしてよくよく見ると、確かにここからそれらが確認できる。いままでもそれを道具で判別してたのだろうか?凄いな。

 「こういう部屋はほぼ100%モンスターハウスよ。ビギナークラスのあなた達は多分まだ知らないでしょ?覚えておくといいわ。」
 へぇ。もしかしてレジェンドクラスのポケモンぐらいになると、そういう部屋にわざと入ってったりするのかなぁ。

 「このくらいのダンジョンのモンスターハウスなら私だけで充分だと思うけど、どうする?あなた達。」

 「いえいえ!ミミさんお一人に任すわけにもいかないので。」
 それにこれでやっと修行の成果が試せるな。

 「じゃ、入るわよ」
 ミロカロスはそれを聞くなりずんずん部屋に入っていった。

 その部屋はミロカロスの読み通りだった。昨日と同じように隠れていたヨーギラスやユキワラシ、ココドラが次から次へと出てくる。
 
 「『ふぶき+2』!」
 ミロカロスは俺たちが部屋に入るのとほぼ同時に技を繰り出した。

 その技はモンスターハウス内にいたポケモンで技が当たったすべてのポケモンを蹴散らした。すげぇえぇ!!

 慌てて俺たちは得意技で残りを片付ける。
 「『はっぱカッター』っ」

 「『かみつく』っ」
 おぉ、ダメージが大きくなっている。

 「凄いわシンゴ!同じ技でもこんなに違うのね!!」
 まぁ一つの技でほぼすべてのポケモン蹴散らしたときはどうしようかと思ったけど、修行の成果確かめられたし、まぁいいか。

 「さ、下の階行くわよ。」
 ミロカロスはずんずん進む。

 「ところでチコ、『+2』って何?」

 「ううん。私も詳しくは知らないけど、ある道具を使って技そのものを強くすることが出来るって言うのは聞いたことあるから、多分その道具を使ったんじゃないかしら?」
 チコもよく解らないのか、凄いな。そんなのどこで手に入れるんだろう。

 「あ、そういえばここの部屋の技マシン…。あ、良かったわ。丁度『ちょうはつ』ね。拾っておきましょう。」
 そういえば技マシン取ってくる依頼もあったんだっけちょっと忘れるところだったな。

 
 次の階ではミロカロスがなんとなくピリピリしながら待っていた。

 「あなた達、私からあまり離れて進むと、痛い目にあうわよ。」

 「え?なんでですか?」
 チコより先に俺が聞いた。

 「さっきから罠を一度も踏んでいないの、気が付かなかったのかしら?」
 あ、そういえば…。

 「ひょっとして…目薬のタネ…も使ってるんですか?」
 チコが恐る恐る聞いた。

 「そうよ。変な罠を踏んで厄介事起こしたくないでしょ?」
 用意周到だなぁ。

 「それともシンゴさんとかいったかしら、そこからもう30cm右に進むと丁度落とし穴があるけど?。」

 「え!?」
 俺は思わず左に飛びのいた。

 「冗談よ。」
 冗談言うんだ。

 「あなた達、少し緊張しすぎね。過度に緊張すると実力を充分に発揮できないものよ。いくら冗談の通じ無さそうなポケモンと一緒でも、もっとリラックスしなさい。二人でいる時みたいにね。さ、それを踏まえたうえで目的地目指しましょ。」
 
 「は、はい。」
 緊張しながら答えるチコ。俺も無理だよそんなの。

 『目薬のタネ』がどういう道具なのかチコに聞きながら、ミロカロスに付いていった。

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 「たしか、ここが最下層のはずよ。」
 何階降りたのか解らないが、突如ミロカロスがそう言った。

 その言葉を遮るように、

 「またお主たちか。去れ!」
 うなるようにフリーザーが言った。っていうかちょっとくらい話聞いてよ。

 「話してもわかる相手じゃなさそうね、仕方ないわ…『ハイドポンプ+2』!」
 
 「ぐっ。」
 すげぇ、あのフリーザーに結構なダメージを与えた。
 
 「なんの『こうそくいどう』、そして『ふぶき』!」
 うわっ、、さっきミロカロスが使ってた奴か。ダメージがキツイ。俺とチコは2人でオレンの実を食べた
 
 「『みずのはどう+2』!」
 ミロカロスの使う技はすべて強化されている。
 
 ただ見ているだけにならないよう俺たちも技を繰り出す。

 「『はっぱカッター』」

 「『かみつく』」

 「もう一度『ふぶき』、重ねて『ふぶき』!」
 ぐわっ。俺もチコも大量にHPを削られた、駄目だ。またHPが底を――。

 「…あれ?」
 俺、今HP底尽いたような。チコもなんだか不思議な顔をしている。

 「なぜだ!?お主ら、なぜまだ立っている!?」
 その時、ミロカロスが『隙ありっ』と言いたそうに微笑んだ。

 「『ハイドロポンプ+2』!!」

 「ぐわぁ!!」
 ミロカロスの攻撃がフリーザーの急所に当たった!。

 「はぁ…はぁ…」
 あんな威勢の良かったフリーザーがかなり息切れしてきた。

 「今なら話せば解りそうね。いったいどうして、いきなり襲ってきたりしたのかしら?」
 と、ミロカロスが切り出した。

 「…ふぅ…。だいぶ頭が冷めた。すまんな、お主ら。普段はあんな事では怒らんのだが…」
 !、これが普段のフリーザーか。どうやら怒りで我を忘れていたらしい。

 「我の普段の住処を追いやられたのだ。まさに『神』と呼ぶのが相応しい伝説のポケモンが目覚めたおかげで…そうグラードンとカイオーガが。」

 「グラードンとカイオーガ…」
 チコは名前を繰り返した。

 「その2匹は目覚めるなり、『本気』のバトルを始めた。なんせ海と陸を作った2匹だ。その強大なエネルギーであちこちに歪みやひずみが生じてきている。まだ始まったばかりだが、このまま放って置くと、大地震や大津波といった天災が頻発し始め、そのうち世界は取り返しが付かないことになる。一刻も早く止めねばならんが、いくら我でもあの2匹は止められぬ。」

 「私なら、やるわ。」
 キッパリ。出来る出来ないじゃないんだよな。誰かは言わなくても解るだろ?

 「ふっ、確かにお主なら…。今、二匹が戦っている所は『黄昏の迷宮』という。」

 「場所が解ったら時間の無駄ね。」
 3人で準備の為にメルカートに戻ろうとすると、

 「おい、そこのワニノコ。シンゴ、と言ったか?。…なぁ、お主…どこかで…?」
 フリーザが俺を呼び止めた。顔を見ながら、何か考え込んでいる。

 「…いや、なんでもない。我の気のせいだ。」
 、、、?。まぁいいか、深く問い詰めないでおこう。この人怒りっぽそうだし。

 「さ、戻るわよ」

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 戻りがてら、なぜ『ふぶき』で俺たちが倒れなかったのか解った。ミロカロスは念の為『ふっかつのタネ』を持って来ていたんだと。すごい道具があるもんだ。

 すっかり暗くなったメルカートに戻って俺たちが調査隊を集めようとすると、ミロカロスはそれを制止し、新聞社にずんずんと入っていき、事情を説明、号外を作らせた。『このほうが確実に伝わるわ』、確かに。

 道具をあらかた買い揃えた後ミロカロスは『明日は私のチームメイトと一緒に行くわ。あなた達は止めても無駄でしょうから、好きにしなさい。』と言いながらある道具を俺たちによこした。いいもん貰ったな。

 さらに続けてミロカロスは『眠いのを押して行っても戦いにならないわ。今日はよく寝て明日にそなえましょ。』だとさ。

 「おやすみ、シンゴ。明日は頑張ろうね。」
 なんだか心配だ。心配といえば、フリーザーは何を言いかけたんだろう?。昔の俺に関わることだろうか、俺は自分が誰だかまだ思い出せないままだ。

 「ねぇシンゴ、起きてる?」
 考え事をしながら起きていたら、チコが話しかけてきた。どうやらチコも眠れないらしい。

 「うん、起きてるよ。」

 「私とシンゴが出会った日の夜に私が何か言いかけたの覚えてる?」
 リーシャンとヤドンの店に行きたいって次の日に言ったよな。

 「覚えてるけど?」
 あれがどうしたんだろう。

 「あれ…………」
 チコは複雑な表情をした。言おうかどうか迷ってるらしい。

 「うぅん。やっぱりなんでもない!明日は早いよ。もう寝なくちゃ。おやすみ!」

 「え!?ちょっと、チコ」
 う〜ん。謎を増やさないで欲しいな。

 今日フリーザーとチコは何を言いかけたのか。明日は大丈夫か。自分は誰か。

 色々と考えていたらいつの間にか眠っていた。

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え?黄昏の迷宮?

そこへ行ったらこの物語は終わってしまうよ

この楽しい時間は消えてしまうよ

大切な人と…別れることになってしまうよ

でも、キミは…それを承知でこの世界に来たんだ


――――――――――chapter13 すべての原因:END chapter14 物語の終わり に続く――――――――――