*「向こうの世界で使命を果たすんだったらお前はもう少しポケモン世界の事を勉強したほうがいいんじゃないか?」

 「ははは…いいよ。どうせ記憶、無くなるんだろ」

 *「まぁそれもそうだな。でも名前だけは忘れるなよ。」

 「無理な気がするが、努力はするよ。」

―――――――――――――――――――chapter11 金色のポケモン―――――――――――――――――

 「いらっしゃ〜い」

 「カクレオンさん今日は『銀の洞窟』に調査に行く準備を整えに来たの」

 「そうなんですかぁ。」

 「調査隊の皆さんも大変ですねぇ。3つもダンジョンが進入禁止になってしまってぇ。」
 まるで他人事のように言うな。他人事だけどさ。

 「えっとじゃぁ、リンゴ2つとオレンの実2つお願いできるかしら。」
 リンゴってダンジョン内で食べる非常食みたいなもんかな?
 
 「ありがとうございまぁ〜す。」

 「お会計150ポケになりますぅ。」
 安っ!?

 「シンゴ、はい。」
 と言ってチコは手を出した。

 「え、何?」
 反射的に聞いた。

 「75ポケ。ちゃんと半分払ってよ。お金ならあるはずでしょ。」
 チコは目線を俺に合わせてキッパリ言った。

 「え!?」
 俺も払うの!?

 「昨日私に払った借金と今日の朝食代とお昼代引いても、まだ3500くらいはあるはずよ。」
 今日の飯代、全部自費だったのはこれの伏線だったのか?

 (チコって意外に細かいなぁ…)

 「なんか言った?」
 
 「いや、なんでも無いよ。はい100ポケ」
 俺は昨日の金貨を1枚渡した。

 「じゃぁカクレオンさんこれ200ポケね。おつりは25ポケずつ頂戴。」
 
 「では、これオレンの実とリンゴ2つずつと、おつりはそれぞれ25ポケになりますぅ。」

 「アイテムも半分ずつ持ちましょ。」
 と言いながらチコはオレンとリンゴを一つずつと金貨3枚を俺に手渡した。100ポケ金貨より2まわりは小さいのが2枚。それより小さいのが1枚だ。この世界のお金は全部おなじデザインで大きさで金額が変わってるんだな。
 
 「またおこしくださいませぇ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「そういえばシンゴ。いつまでも大金持ち歩いてると危ないから、それ預けに銀行行ってからダンジョン行きましょ」
 
 「うん、そうだねチコ」

 銀行にお金を預けてからメルカートを出た。

 「えっと、こっちのほうよね。」
 二人で地図を見ながら、『銀の洞窟』とやらに向かう。

 メルカートから1時間ほど行くと草原になり、その辺りは警備隊が巡回していた。
 
 「この辺まで調べるんだね。」
 調査隊は調査隊で大変だけど、それ以上に警備隊って大変そうだなぁ。

 「ファドルスってどうして指名手配になったのかな?。」
 そういえば、考えたこと無かったな。
 
 「よっぽど悪い事したんだろうね。」
 当たり前だよ。

 「なんだか怖いね。」
 あんまりそんな会話は続けないでおこう。なんだか調査隊って心細いな。
 
 
 警備隊の姿も見えなくなってしばらくすると、草がまばらになり、だんだんと岩肌が目立つようになってきた。


 「この辺りってあんまり草生えてないね。なんだか殺風景だ。」
 話を変えるつもりだったのに、なんか余計寂しいな。
 
 「ここまで来るの初めてだわ。」
 チコは余計、俺を不安にさせるようなことを言った。

 岩肌は徐々に白っぽくなっていき、日が当たると、その部分はキラッと光るのが解る。

 「あ、光った。」
 
 「うん、光ったね。もう少し先に進むと岩肌が真っ白になるわよ。そういえば、その場所に日没の時間帯に行くと、銀色に光ってとってもきれいだって聞いたことあるわ。」
 チコもちょっと感動しているみたいだ。珍しい風景を見て怖さが少しうすれたように見える。

 銀色に光る岩が徐々に多くなっていく。銀色の光に導かれるようにして俺たちは先に進んでいく。

 岩肌がだんだん切り立って行き、間の道が狭くなってきた。なんとなくそろそろ付きそうな予感がしてくる。

 もう3時間は歩いただろうか。日も傾いてきてあたりもキラキラと輝きだしてきた。
 
 「チコ、もう少しなのかなぁ?」
 少しずつ道も上りになってきた。
 
 「地図によるとそろそろね。ファイト、ファイト!」
 
 先の道が消えているように見えたが、そこが峠の頂だった。
 
 「うわぁきれい…」
 先に上ったチコが俺たちの通ってきたほうを見て言った。

 俺もチコの言葉に振り返ったが、俺たちの通ってきた道を地平線に沈む太陽が、キラキラと照らしていた。とても幻想的な光景だ。
 「おぉ、キレイだね」
 思わず言葉が出た。本当に銀色だな。

 チコがいるところまで上ると洞窟があった。

 やっぱり疾風の草原と同じく、注意を促がす立て看板があった。ここまで一般人来るのかな。でもこんな景色が見れるんだったら来るかも。

 「シンゴ、」
 と言ってチコは手を出した。

 「S&T初ダンジョン突破を願って…ファイト!」
 3回目だし徐々に慣れてきたな。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「うわぁ暗いねぇ」
 中は真っ暗、部屋の広さとそこから伸びる道がおぼろに見えるくらいだ。その部屋は疾風の草原よりはるかに狭い。

 「それに狭いわね。部屋もいくつあるのかしら。」

 「足元に気をつけて行こうね。」
 ひょっとしたら『罠』とかいうやつがあるか…

 カチッ。
 
 カチ?

 「うわぁ!」
 なんか足元がすくわれて、俺はその勢いで壁まで飛んでって頭をぶつけた。何が起こったかわからない。

 「大丈夫!?シンゴ!」
 チコは何かを避けながら俺に近づいてきた。

 「…うぅ…いてて…」
 とりあえず、痛いです。でもこれ一人だったら軽く鬱だな。

 「多分『突風スイッチ』って罠を踏んだのね。ほら」
 さっきまで単なる岩だったその場所に灰色の板が出現していた。

 「罠に気をつけていきましょ。」
 さっき心で思ったけど、まさかその矢先に罠にかかるとわな。おっと駄洒落じゃないぞ。

 やっぱり野生のポケモンの出現率も高い、技を駆使しながら何とか進む。このダンジョンはどんどん地下にもぐっていくタイプらしく、階段も下の階に繋がっていく。

 「シンゴ、ちょっと待って。」
 もくもくと降りていって通路を歩いている時に急にチコが制止した。

 「ん?どうしたのチコ?」
 あと少し進めば次の部屋っぽいけど。

 「なんだか、この部屋嫌な感じがするわ…。なにかしら、この感じ。」
 先頭にいる俺にはただ暗闇が見えるだけだ。

 「嫌な感じって?」
 
 「う〜ん…。いいわ。きっと気のせいね!」
 
 「ふぅん。俺には暗い部屋が見えるだけだよ。じゃぁ先に進むよ?」
 と言って一歩部屋に踏み入れたら、突然沢山の隠れていた野生ポケモンが沸いてきた。十数匹はいる。

 「モンスターハウスよ!」
 チコはそういいながらすばやく俺の隣に身構えた。

 ヨーギラスやユキワラシ、ココドラもいるようだ。

 今俺の前にはヨーギラス、チコの前にはユキワラシがいる。横には今のところ誰もいない。

 「はっぱカッター!」
 
 「かみつく!」
 俺とチコはそれぞれ得意技を繰り出した。それに対しヨーギラスとユキワラシはそれぞれ「嫌な音」と「頭突き」を繰り出した。

 俺はヨーギラスの嫌な音に思わずよろめいた。おっとっと…

 ズボッ!
 
 ズボ?
 
 「う、うわぁ!」
 突然自分が下に落ちていった。
 
 「あ!シンゴ!!」
 反射的にチコは俺の手を掴んだが、一緒にチコも落ちてしまった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「う〜ん」
 痛さで俺はうなった。今日これで2回目だな。

 「大丈夫、、シンゴ?どうやら『落とし穴』にはまったみたいね。」

 「お、落とし穴?」
 でも今かなりの階数分、落ちてきたような。

 「でも変ね、落とし穴って1階分しか落ちないはずだけれど。」
 そうそう、理屈で言ってもそうだよな。

 *「お前達!!。なぜここに来たのだ!?」

 「だ、誰ッ!?」
 チコは反射的に後ろを向いた。そこには水色のキレイな鳥がいた。
 
 「フッ!フリーザ!!」 
 
 「フリーザって言うの!?あのポケモン。」
 
 「あぁ伝説のポケモンだ。」

 「でッ、伝説のポケモン!?」
 そう、チコが出会いたいといっていた、あの。まさかこんな所で会うなんてな。
 
 「なぜ質問に答えない!。我は近頃この辺りがおかしくなって、いらついているのだ!!」
 そう言うフリーザはかなり気が立っている。最近この辺がおかしくなった?どういうことだろう。

 「えっと…私たちは調査隊で、、、」
 チコが説明しようとすると、

 「そんな事を聞いているのではない!。タダでさえ私の領地にまで入ってきおって!」
 フリーザがすぐに遮った。かなりイライラしている。とても話を聞いてくれるようには思えない。

 「、、え、、ごめんなさい。」
 とりあえず慌てて謝るチコ。

 「もう許さん覚悟しろ!!」
 え、ちょ、ま。

 有無を言わさず、フリーザが『かぜおこし』をチコに繰り出した。
 
 「駄目だわ、シンゴ。ひとまず交戦よ。はっぱカッターッ」
 
 「かみつくッ」
 俺たちはすかさずさっきのモンスターハウスの時のように得意技を繰り出す。
 
 「それで攻撃したつもりか。『高速移動!』、、そして『かぜおこし』」
 
 フリーザの攻撃がチコの急所に当たった!

 「痛っ」
 チコは急いでオレンの実を食べた。俺は続けてかみつくを繰り出す。

 「『かぜおこし』」
 
 やばいそろそろ俺もオレンの実を食べなきゃ。

 「あッ」
 慌てていたせいか。俺はオレンの実を落としてしまった。ころころ転がるオレンの実を慌てて拾いに行くが、このチャンスをフリーザが逃さないわけが無い。

 「『かぜおこし』!!」
 
 「ぐわぁ!」
 痛いッ

 「シンゴ、大丈夫!?」
 チコが心配してすぐに声をかけてきた。
 
 でも駄目だ。俺、HPが底を尽きたらしい。なんだか意識が遠のいて―――――――――。

 「シンゴ?、シンゴ!!」

 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 
 「あ!気が付いたのね。」
 俺は気が付いた時、チコが目の前にいてくれた。俺はいつの間にかメルカートの俺とチコの調査基地に戻っていた。チコは俺が気が付いてすこしほっとしている。

 「チコ、君が助けてくれたのかい?」
 フリーザを一人で倒したのか?
 
 「まっさかぁ!私もあの後倒されちゃってね。実は…」
 実は?
 
 そこまでチコが言うと基地の外から声がした。
 *「助けたのは、私よ」
 初めて聞く声だな。一体誰、、、

 そこにいたのはチームポケドーロのリーダー、ミロカロスだった。

 「ミッ、ミロカロス!?」
 初めて声を聞くがなんだか冷たい感じの声だな。

 「『さん』でしょ、それにこのお方の名前は『ミミ』さんって言うんですって。素敵なお名前ね。それにしても助かりました。ありがとうございます。」
 深々とお辞儀をするチコ。

 「いいのよ。ポイントも普通より貰えるし、それに調査隊の仲間を救助するのは当然でしょ?」
 多分、一人だけで俺たちを助けたのだろう。にしても、ハッキリ言うな。『ポイント貰える』って。

 「フリーザを一人で倒したんですか?」
 俺は最初に生じた疑問をぶつけてみた。

 「倒そうと思えば倒せたかもね。」
 という事は、

 「でも、面倒だったからキミ達二人を引き上げて、すぐ逃げてきたわ。」
 やっぱりハッキリ言うんだな。『面倒』だったって。それにしても伝説のポケモン相手に勝つ発言か。強気だなぁ。でもそういう人じゃないとレジェンドクラスのチームリーダーはつとまらないのだろう。

 「それにしても、どうして僕たちが倒れたって解ったんですか?」
 
 「そいつよ」
 ミミことミロカロスは目線でキットに付けてある調査隊バッチを見た。

 「そいつで調査隊に万が一のことがあった場合。解るようになってるの」
 へぇ…。

 「それにしても『銀の洞窟』にフリーザなんて。いままで何度も突破してるけどそんなことなかったわ。」
 ミロカロスは何か考え込む動作をしながら、独り言を言った。
 
 「あと、おかしな罠にもはまったんですって?」

 「はい、普通の落とし穴と違って何階分も下に落ちたんです。」
 チコは丁寧に説明した。前後から察するに俺が気絶している間、あらかたチコから話は聞いていたのだろう。

 「妙ね…何かあるわ」
 フリーザに落とし穴、確かに変だな。

 「…じゃぁお連れさんも目を覚ましたようだし、私はこれで失礼するわ。」
 ミロカロスは真っ暗な道を通って自分の基地に戻っていった。

 「あんな事ばかり言ってるけど、根はかなりいい人なのよ。シンゴが目を覚ますかどうか心配してたんだから。」
 といわれてもピンと来ないけどな。


 しばらく間を空けるとチコが、
 「あ〜ぁ。負けちゃったし、依頼もこなせなかったわね。明日また行きましょ」
 と言った。確かに結局技マシンみつからなかったな。

 「今度は突破できるといいけど…」
 またフリーザに出会ったらどうしよう。

 「そうだ!一回修行してから行きましょうよ!」
 チコはピンと閃いた。
 
 「修行?」
 初耳な単語だ。

 「そうと決まったら、明日も早いよ。おやすみ、シンゴ」
 え、修行って?。でもチコはもう寝てしまった。疲れていたんだろうか。それにしても早いな!?
 
 「おやすみ、チコ」

 まぁいいや。俺も疲れた。もう寝よう。明日になれば解るだろう。

 zzZ…

――――――――chapter11 金色のポケモン:END chapter12 変わった声 に続く――――――――――――