―――――――――――――――――――chapter4 ドリッドの川辺――――――――――――――――――

 ダンジョンは普通は未開の地にある、というのはオレの勝手なイメージだが、そうでもないダンジョンもある。それがこのドリッドの川辺だ。このドリッドの川辺に行くには、エル・パライソから川側のほうへおりて行かなければならないんだが、その川辺の少し手前ぐらいまでは、道がキチンと舗装されている。もちろん、捜索隊で無いと、通れないように、見張りがいるにはいるんだが、その気になれば見張りの目を盗んで、通れそうな気がする。

 早い話が見張りはそこまでちゃんとやってはいないという事、まぁこのダンジョンはほんとに初心者用の初心者のもので、一般人が入ってもそんなに危険は無い、はずだ。もっともダンジョン内の危険なポケモンと間違われて攻撃される可能性があるので、よほどの馬鹿か暇人でない限りは入らないだろうな。

 このダンジョンが出来たのも実はけっこう、最近のこと…らしいんだ。

 らしい、と言ったのは今話したのは全部リアフに聞いた事だから。実はぼくはこの間リアフのチームに入る形で捜索隊になったばかりで、ダンジョンの捜索はもう何度かしたんだけど、詳しくはまだ知らないことが多いんだ。

 さっき、ダンジョン内の危険なポケモン、と言ったが、実はダンジョンや凶暴になったポケモンが出てきたのは比較的最近のことで、それの為に迷子になったり、傷つけられたりといったポケモンたちを保護するために結成されたのが、ぼく達、捜索隊だ。

 今回みたいな、依頼主不明での捜索隊に保護して欲しい、と言う依頼も珍しくない。

 ただ、ぼく達がこんな依頼をやるのは初めてだ。大丈夫かな。

 まぁ心配ばかり並べてもしょうがないか、なるようになるさ。

 町から離れると、草が目立つようになって来るんだが、今度は徐々にその草が減り始めてきた。

 草が減り始めると同時に、石ころが目立つようになってくる。どんどんと石が増えてきた、もうそろそろだな。

 川のせせらぎが聞こえて来た。いい音だ。こころが休まる。じゃなくて、ダンジョン、ダンジョン。

 「ドリッドの川辺」はこの川辺にある、って当たり前か。それで山の中にあったら、一度でいいから行ってみたいもんだよな?。

 ダンジョンの入り口はどれも独特な雰囲気がある。なんだろう。そうだな、暗い道を歩いていると、誰かが後ろにいる気がすること無いか?。あんな感じだ。

 このダンジョンは洞窟が入り口となっている。木と木の間とか、海のど真ん中とか、挙句の果てには雲の上とかにもあるという噂を聞いた事ある。そういう意味では、へんな言い方だが、ここはかなり良心的なほうなんだろう。早く、入り口がみょうちくりんなところにあるダンジョンに行ってみたい。でも初心者だからそんなダンジョンにはとうぶん、行けないんだろうな。

 「イブ、準備はいい?」

 洞窟の前まで来ると、リアフはぼくにそう言った。だいたいリアフは捜索を始める前にぼくにこう言うのが決まりみたいになっている。

 ぼくは少し頷く。

 「うん!じゃぁ行きましょ!!」

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 ダンジョン内は、外と同じく小さな石ころがごろごろしている。と言ってもこれを「ゴローンの石」みたいにぶん投げて武器にすることは出来ない。小さすぎるんだ。

 壁は、切り立った崖のようになっていて、ツタが生えている。

 天井は…見えない。果てしなく上に続いてる、と言われれば、納得するかもしれない。

 でもそこが「不思議のダンジョン」の面白いところだ、ダンジョンは1フロアごとにいくつかの小部屋に分かれており、その小部屋のどこか一つに必ずかいだんがある。そのかいだんを上がると、なぜか1階上のフロアに移動しているんだ。後ろを振り返っても、もう確かに上がったはずのそれは無い。そう、解ったかい。階段では無く怪談だと言う事を…。うふふふ、ははははは、あっはっはっは!。いや、ごめん。

 ダンジョンができた理由には諸説あるが、だいたいみんな言うことは同じ、なにかしらの強大なエネルギーの為、だ。そのなにかしらが何か、というのを調べて、それを元の状態に戻し、平和な世の中を取り戻すのが、ぼく達の目標だ。凶暴なポケモンたちやそれで犠牲になるポケモンたちは、もうこれ以上見たくないからな。

 ってリアフが言ってた。ごめんなさい、今、オレカッコいい!って調子こきました、ほんとすいません。

 それにしても、このダンジョン何回目だろう。多分、片手でも突破できるんじゃないかな。いや、調子に乗ると倒されそうだからやめておくけど。

 他の場所では知らないが、このあたりのダンジョンでは、捜索隊は倒されると勝手にダンジョンの入り口まで戻されている。これもさっき言った何かしらのエネルギーの影響だろうか。

 多分だけど、ダンジョン内で倒したポケモンも入り口まで戻されているんだろう。もちろん、正気に戻って。

 でも、そうやって自分を正当化しても、やっぱりなんともいえない気持ちになる、罪悪感って言うんだろうか。

 いや、すいません、またちょっぴり調子乗りました。もうしません。

 この辺にいるポケモンはニョロモやウパー。やはり水タイプが多い。ぼくはそれを通常攻撃で上手くかわしていく。

 というのも、保護依頼をしているポケモンが今どういう状態にあるか解らないからだ。

 もしかしたら、ぼく達の力ではとても太刀打ちできない、強大なポケモンがそばにいるかもしれない。まぁ、そうだったら、不本意だが一旦引き返すしかないんだが。

 依頼主自体が、攻撃してくることだってありえる。なんせ依頼主はおびえきってる可能性が高いからな。自分の名前すら書けなかったほど切羽詰ってたんだし、そうならないと言い切るほうが難しい。

 じゃぁ、どうやって依頼主と野生のポケモンを見分けるか、って?。奇遇だな、ぼくも今同じことでずっと悩んでるんだ。うん、説明すればするほど、今回の依頼は難易度が高い。フィーリングで解るかなぁ。

 そういえば、リアフもなんだか騙し騙し攻撃しているような気がする、もしコレが依頼主だったら、とか考えてるのかな。

 まぁ、依頼主ならきっとなんか喋ってくれる、はずだ。さっきも言った通り倒しても入り口に飛ばされるだけだから、別に問題は無いだろうしね。面倒くさくはなるだろうけど。

 そんなことを考えながら、慎重に進んでみたんだが、もう、最後のフロアの階段前まで着いてしまっていた。あれ?依頼主がいないぬし、はいそこ、ヒュ〜、って言わない。

 「リアフ、依頼主、見つからないね?」

 「う〜ん、もしかしたら、最上層にいるのかも知れないわね、一応行ってみましょう?」

 まぁ、ここまで来たんだしね。いませんでした、で帰るのもなんか、ね。

 ぼくとリアフは最後の階段を上がった。

 最後の階段を上ると、そこは雪国であった。はい、解ったわかった、もうふざけませんよ。

 本当はそこには、広い空間がある。まぁ広い、と言っても天井とは違って先が見えないくらいではないが、さっきまで捜索してた1部屋の4つ分くらいってとこか。だいたい雰囲気はさっきまでの部屋と同じだが、違うのは木がところどころに生えているって所ぐらいか。

 「だれかいる〜?」

 リアフは適当な方に向ってだれかも、その存在さえも、確認できないそれに問いかける。

 ほんとうにこんなところにいるんだろうか。

―――――――――chapter4 ドリッドの川辺:END―chapter5 VS依頼主! に続く――――――――――

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