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おや!キミは新顔だね?
ひょっとして捜索隊に入りたいのかな?
グラーシアス!
いい返事だね!
よし、じゃぁキミも今日から僕達捜索隊の一員だね!
この町の事かい?
はは!大丈夫!大丈夫!暮らしていればすぐ解るよ!!
そうだ!挨拶がまだだったね?
ようこそ!エル・パライソの捜索隊へ!
――――――――――――――――chapter1 開幕!スポーツイベント―――――――――――――――――
「イブ!起きて!!朝だよ!」
ぼくが捜索隊のトップになる夢を見ていると、突然、夢の中でそんな声が聞こえてきた、その声にビックリして、思わず飛び起きた。
飛び起きて解ったけれど、どうやら大きな声は夢ではなく、現実のものだったらしい。今、僕の目の前にはその大きな声をだした張本人であろう、チコリータがいるからだ。とても楽しそうな表情をしている。
「ん? なぁに、リアフ ?」
リアフとはこのチコリータの名前だ、さっきまで夢の中だったのはイブ、名前の通り、イーブイ。二人とも実に解りやすい名前だ。
「なに?じゃないでしょ!。…今日はなんの日でしょう?」
え〜っと、寝起きの頭でクイズを出されても、解けるかなぁ。リアフの誕生日、はこの間本人にばれてると承知の上でのサプライズパーティをやったし。他の人の誕生日とか?。駄目だ、寝起きの半分動いてない頭じゃまず誕生日から離れられないや。
「今・日・は!。エル・パライソのスポーツイベントでしょ!」
ぼくが頭をかいたりあごを押さえたりしながら答えをひねり出そうとしているのを見て、リアフは胸を張りながら、自信満々に答えた。いい笑顔だ。
「あ!そうだった!」
エル・パライソのスポーツイベント、このエル・パライソはスポーツが大好きで、情熱的な人が多いが、そんな中でも最も盛り上がると言われてる、お祭りのようなものだ。まぁ、と言ってもスポーツイベント、とは名ばかりで…
「早く!準備して!いい席無くなっちゃう!」
とっとっと。ぼくは返事する間もなく、リアフに蛇口があるほうへ押されていった。ぼくは半自動的に蛇口をひねって顔を良く洗う。うわぁ、体じゅうの毛が爆発している。体の毛並みを整えるのと同時に、顔も適度に整える。
「どう?リアフ?」
ぼくが、リアフに顔の毛並みの整い具合を確認しようと振り返ると、すぐ後ろにすでに待機していた。そうせかすなって。
「うん!いい感じ!」
リアフはぼくの周りをゆっくり1周すると、そう言った。そういうリアフはいつもに増して、毛並みが整っている。顔にも盾形の捜索隊のバッチのペイントがされている。赤とだいだいのとっても情熱的なカラーリングだ。それにしても、手が込んでいる、いったいいつから起きてたんだろうか。
「じゃ!行きましょ!」
ぼくの毛並みが整えられたのを確認すると、早足でリアフは基地の出口に向いだした。
「え!ぼくも顔のペイントしたいんだけど!」
そのほうが盛り上がるでしょう?。まぁ昨日起きるって言った時間に起きれなかったぼくもぼくだけど。
「だ〜め!もう開場しちゃうもん!見づらい席で見たくないでしょ?」
まぁ起きれなかった時点でこうなるのはうすうす予想はしていたけどさ、残念。
「見たくないです…。」
出来る限り、落ち込んだ表情をすれば、同情してすこしぐらい…
「じゃぁ行きましょ!」
駄目でした。効果はいまひとつ、いや、効果は無いようだ、だな。
リアフがぼく達の基地をスキップしながら出ていく、ぼくもそれについて行った。
外に出るとエル・パライソの町の他の街の人たちがリアフに負けないぐらいそれはそれは見事なペインティングを顔に施していた。リアフとぼくは道の真ん中を歩きながら、目的地に向う。
このエル・パライソは、ほとんどの建物が碁盤の目状にきっちりと整列している。だから目的地までのルートが非常に解りやすいのだ。これは方向音痴のぼくにとっては重要なことだ。ただ、このあたりはとても坂道が多い地形で、それがちと難点なんだけど。まぁ捜索隊にはそれなりの体力が必要だから、このくらい屁でもないけどな。
「そういえばリアフ、今日のスポーツイベントは、どこの町とだっけ?」
対戦相手の町、昨日聞いたんだけど、なんて名前だったかな?。うちの地方と同じくダンジョンを探検するチームがある、って事しか印象に残ってないや。
「今日っはたっのしいスポーツイベント♪」
あぁ、駄目だ自分の世界に入っちゃってるや。こうなるとリアフは何を話しても返答がなくなるんだよな。まぁいいや、着けば解るだろう。
どんどんと目的地に近づくにつれ、エル・パライソの他の住人さんが増えていく。知らない人が結構多いみたいだけど、知ってる人はいるだろうか?。ぼくは何の気なしにあたりを見渡す。
おや、見たことのある後姿が…
「ムウマさん!あなたも観に来たんですか?」
エル・パライソで占い屋を経営している、ムウマさんだ。何度かお世話になってるんだが、かなりいい人だ。
「星が…そうしろって」
まぁ、ちょっと、変わり者だけどな。占いしに行っても、たまに何考えてんだか解らないときがあるし。
「あの!今日はどっちが勝ちますか!?占ってくれません?」
占いって女の子は凄い好きだよな。ぼくは正直、そんなに信じていないんだけれどさ。いつも話半分に聞くことにしている。
「・・・・・」
最初、この人の店に占いに行った時に、なにも言わずに突然空を見上げて沈黙しだしたときは、なにかあったのかと思ったけど、あとでリアフに聞いてみたら、それがこの人の占いスタイルらしい。リアフが昔ムウマさんに聞いてみたら、どうやらこの人は星の動きを見ているのだとか。ムウマさんと同じように目を細めてみても、ぼくには空と雲しか見えない。
「大丈夫、負けることは無いわ」
ムウマさんはしばらくしてから、ゆっくりとぼく達のほうに向きなおして、小さな口の動きでそう言った。
「イブ!良かった!勝てるって!!」
勝てるとは言ってないよ。負けない、って言っただけで。試合が中止になってもそれは、負けてないわけだしな。
「あ、ほら、無駄話をしてたら着いたよ」
見えてきたのは、大きな白いドーム型の建物。すでにここからでも行列が見てとれる。
「え〜っと」
リアフは捜索隊のバッグから、1枚のオレンジ色っぽい紙を取り出す。チケットだな。捜索隊のバッグとは、円柱を縦に割ったような形の細長いバックで、一番上にチャックが付いている。肩に背負えるようになっていて、普段使いでも、とても便利だ。とてもじゃないがタダで貰っているとは思えない。
「11番入り口からね」
こういう所に言った事が無い人は解らないだろうから一応説明すると、このスタジアムでは、席ははっきりとは決まってはいない、でもだいたいの位置は決まっていて、その範囲内ならどこに座ってもいいことになってる。席がきっちり決まってる場合もあるけど、このスタジアムではそれが主流だ。だからこそリアフは出来る限り早く来て、一番見やすい席を取りたかったわけだが。けっこう並んでやがるぜ、いい席座れるかなぁ。
開場までもうしばらくお待ちください。とメガホンを持ったゴニョニョが言っている。どうだろう?明らかに不適材不適所だと思うんだけどな。その進化系なら…逆にうるさいかな。
「あっ!開場したわよ!!」
行列が少しずつ前に進んでいく。こういうときギュウギュウ押す奴って何なんだろうな、気持ちは解るが、迷惑極まりないからやめて欲しい、っていうかやめろ。
途中入り口のコラッタにチケットをもぎって貰ってから、ダッシュで1つ通路を挟んだ、内側の入り口に向う。いい席取れるかなぁ…
――――――――――chapter1 開幕!スポーツイベント:END―chapter2 に続く――――――――――――